千人が千人、万人が万人とも、欠点も長所もある。その欠点も長所もみとめて生かすというところに自由主義があると思います。それを消してしまって一つの型にはめてしまう、ということはもう根本的に無理があります。いってみれば人間本来の姿、いわば自然の姿を無視しているわけです。もう花は一つにしてしまえ、バラならバラだけにせよ、というのといっしょです。

『憂論』(1975)