たとえば母親は慈愛の心をもっておりますが、場合によっては子を叩きます。叩くということは慈愛の心に反する。母にその心がないかといえば、決してそうではなく、母の愛はやはり一貫したものであります。天災地変はこれを大きくしたものと同じだと思います。個々について見れば、地震に遭った人はやはり痛い。しかし全体の上から見ると、やはり生成発展の姿をとっております。そして自然の条件がそれを裏づけています。

『松下幸之助発言集37』(1948)