人から言われたことをただ忠実に、従順に守るということだけでは、本当の意味の素直さにはならないと思うのであります。これはいわば消極的な素直さであると思うのであります。本当の意味の素直さというものは、もっと力強いものであり、積極的な内容をもっているものであります。すなわち、ものごとの真実に対して強くあらわれる心であると思います。いいかえれば、ものごとの真実を受け入れようとする力の湧いてくる心であります。それは、正しいこと、真実なるものに忠実であり、従順である心であると思うのであります。

PHPのことば』(1953)