昔は、“出処進退”というものが非常に大切なものだと教えておったようであります。何が大切であるかというと“出処進退”がいちばん大切である。私は“出処進退”ということは辞職するという意味ではないと思うんです。もっと激しいものであり、それは死に直面することであると思います。こと志に反する場合には、死をもってこれにあたるというようなことだと思うんです。そういうような考え方があって初めて、ものはなし遂げられると思うのであります。

『松下幸之助発言集26』(1961)