Q29:○○に当てはまる幸之助の言葉は?

「非常に文化の高い国は○○が多い」

 (1)職種

 (2)貯蓄

 (3)国債

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解答&解説コラム

 (1)の「職種」が正解です。国家の文化水準をはかる判断基準として、幸之助は「自由」「秩序」「生成発展」の3つを挙げましたが、もう1つの“ものさし”を提示したことがありました。それが“職種の多さ”です。


 幸之助は、そもそも職業とは「社会の繁栄に役立つかぎり、すべて平等であって、いずれが尊く、いずれが卑しいということは少しもない」として、お互いが各々の職業を尊重しあい、「いきいきと仕事に励み、生活を楽しむ」社会の実現を望んでいました。そしてそのためには、社会を構成する一人ひとりが、自らの適性や持ち味を存分に発揮して愉快に仕事に従事できるだけの職種が必要だと説いたのです。


 ではどれだけの職種があればいいと考えていたのでしょうか。幸之助は、万人が万人とも異なった適性をもっている以上、“一人一業”すなわち「1億の人がいるとすれば1億の職種があること」が最も理想的な状態だと述べます。そうなればすべての人が適職を得て働けるのだから、そこに働きがいや働く喜びが生まれ、仕事の能率も上がってくる。社会も進歩発展し、豊かな文化が生みだされてくるというのです。


 幸之助が示した4つの定義―「自由」「秩序」「生成発展」「職種の多さ」―は、国家はもちろんのこと、お互いが属する団体や会社組織をよりよいものにしていくための指標ともいえるでしょう。というのもこれらが、幸之助が松下電器の経営において求め続けた理想の姿に符合するところが実に多いからです。