Q76:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?

昭和33(1958)年ごろ、幸之助のもとを訪れた扇風機事業部長は、「前月の決算は赤字です」と報告しました。幸之助は何と言ったでしょうか?

(1)「給料を返してくれ」

(2)「赤字を出すことは出血と同じや」

(3)「ここに来るまでどの道を歩いてきた」

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解答&解説コラム

 (3)が正解です。

 経営状況の報告のため本社に呼ばれた扇風機事業部長は、幸之助に「先月の決算はどうか」と聞かれ、臆することなく「赤字です」と答えました。扇風機は夏物商品で、生産は1年中行なっていたものの、出荷は3月ごろの年1回、売上げの最盛期は6月~7月でした。したがって、出荷も売上げもなかったその月は赤字になって当然と考えていたのです。
 幸之助はこう言いました。

 

 「赤字とは大変なことや。君はここに来るまでどの道を歩いてきた。小さくなって隅の隅を歩いてきただろうな」

 

 道は税金でつくられた公道であり、赤字を出している事業部長は身を縮めて通るべきだというのです。
 幸之助の言葉に事業部長は、赤字に対する認識の甘さを思い知らされます。そして、年中売れる商品を考案せよという課題を与えられたのだと悟り、季節を問わない年中商品として、まもなく換気扇の開発に着手したのでした。