Q79:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?

幸之助が会長の職にありながら営業本部長代行として第一線に復帰し、販売制度の改革に取り組んでいた昭和39(1964)年のことです。ある朝幸之助は、事業部や営業所の報告書や、定期的に本社が出している通達を集めさせます。それらの書類をどうしたでしょうか?

(1)すべてに目を通し、ただちに会議を開いた

(2)廊下に張り出した

(3)見ずに放置しておいた

矢印(下).png

解答&解説コラム

 (3)が正解です。

 当時、幸之助は会長の職にありながら、病気療養中だった営業本部長の代行として第一線に復帰し、経営改革にあたっていました。

 

 ある朝、「今、事業部や営業所から取っている報告書、本社から出している定期的な通達を全部持ってくるように」と指示します。集められた書類は会議用の机の上に山積みにされました。しかし、幸之助はそれ以降1日、2日経っても何も言わず、書類を見ることすらしません。

 

 3日目に経理課長が、「これを返していただかないと、仕事にならないので困ります」と言ってきました。「そうか。それなら持っていきなさい」と、幸之助はその書類を読まずに返します。その後数日のうちに何人かが取りにきたものの、誰も取りにこない書類も多数ありました。

 

 20日目の朝、幸之助は残っている書類を指して、こう言います。「これらの書類はきょうかぎりで廃止する。20日間も見ないですむような書類は必要がない」。委員会を開いて評定するのではなく、実際に即したやり方で一気に事務の合理化をはかったのです。