Q84:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?

幸之助がある著名な日本画家を茶席に招待したことがありました。二人は初対面でしたが、この画家が早食いで、本人もそれを気にかけていると聞き知っていた幸之助は、何と声をかけたでしょうか?

(1)「早食いは体によくありません」

(2)「絵を描くのと早食いは関係ありますか」

(3)「私は食べるのが早いんです」

矢印(下).png

解答&解説コラム

 (3)が正解です。

 幸之助がある著名な日本画家を招待し、茶席を共にしたときのことです。二人は初対面で、画家は自分が非常に早食いであるため、礼を失することを気にしていました。夫人からも「お茶席はゆっくり食事をいただくのが礼儀作法ですから、くれぐれも用心なさいませ」と、きつく言われていたのです。ところが、画家が料理を一口、口にしたとき、幸之助がこう言いました。
 

 「私はねえ、先生、もう食事が早くて、他人の倍以上の早さで食べてしまうんです。何しろ個人で仕事をやっていたころは、自分で何もかもやらなければならんでしょう。やれお客や、それ火が落ちるということで、腰を浮かせて食事をせざるをえなかった。それが習い性になってしまったんでしょうな。一所懸命料理をつくってくれる家内にはすまないと思いつつ、ときどき“太閤秀吉の食事も早かった”と自己弁護してるんです。横着なもんですな」
 

 画家は「びっくりするやらうれしいやら、松下さんの言葉は私にすっかり安心を与えてくれた」と、のちに語っています。