松下幸之助用語

社長は方向指示器つきお茶くみ業

 

用語解説

 独立してからも病弱だった松下幸之助は、「後方にいて、社員に仕事をしてもらっていたという意識だった」と述懐している。ことに終戦後の、社長も社員も人間としては平等という風潮のなかでは、命令を下しても、心中「こうして下さい」とお願いする気持ちをもつようになったという。そうなると、社員の働きに対して「ご苦労様、お茶でもどうぞ」というねぎらいの気持ちが自然に生まれた。これが“社長はお茶くみ業”という発想になった。

 しかし、ただ仕事をしてもらっているという考え方だけではいけない。経営者は経営理念や使命観といった進むべき方向を指示する必要があるという。“社長は方向指示器つきお茶くみ業”という意味はここにある。