松下幸之助用語

適正価格を追求する

 

用語解説

 松下電器が町工場だったころ、松下幸之助自らが商品を売りに回っていた。得意先のなかに値引きを要求してくるところがあり、執拗な値引きに根負けしそうになった瞬間、脳裏に夏の暑い工場で汗をたらしながら熱心に働く若い従業員たちの顔が浮かび、「負けます」という言葉を飲み込んだ。そして「みんなが汗水たらして一生懸命働いて、やっとできた製品に正常な計算をしてつけたのがこの価格です。それを値切られるのは、身を切られるより辛い」と熱心に訴えた。
 負けろといわれて、負けられるような価格をつけてはいけない。松下電器では、それ以降、初めから世間に受け入れられる適正妥当な価格をつけることに努力することになったという。