治安の維持は政治の要諦。秩序が適切に保たれれば、社会活動、生産活動も、より能率的になって、生産性も高まる。だから、政府はもとより、国民一人ひとりが治安の保持向上に努めることが大切だ。

 

<治安を正しく能率的に保持していくための4つの要点>

1.治安の重要性を国民一人ひとりが正しく認識し、有効適切な治安体制を確立すること

2.衆知を集めてお互いの人間性や時代性に立脚した法律をつくるとともに、これを国民が平等に厳守していくこと

3.治安の保持と思想の自由とは両立すべきものであること

4.刑余者に政府が直接的に働きの場を提供すること

 

枕を高くして眠れる社会を

発表媒体

PHP』1966年3月号 「あたらしい日本・日本の繁栄譜」

 

内容抄録

 社会の秩序が有効適切に保たれ、治安が正しく保持されたとするならば、人々はそれぞれ安心して、みずからの仕事に精を出すこともできるし、また枕を高くして眠ることもできる。家の戸締まりにしてもいちいちそう厳重にしなくてもよくなってくる、というように、とにかく生活の各面において、要らざる神経を使わなくてもよくなり、ひいては、お互いの日常活動が円滑に運ぶようになってきて、実際にものがより能率的に生まれてくるように思われる。

 そうすれば一つには、昨今のわが国のような物価の急激な上昇というものも、かなりやわらぐのではないか。つまり治安の保持は、道義道徳心の高揚と同じく、社会活動を能率的にし、その生産性を高めるために、重要不可欠の問題なのである。したがって、その治安の衝にあたる人々はもとより、お互い国民一人一人が、この治安の保持にすすんで協力していくことが肝要だと痛感する次第である。