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著作から見た松下幸之助の世界

指導者の条件

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昭和50年
PHP研究所 刊
四六判(190mm×130mm)
232ページ
平成元年
PHP研究所 刊
文庫判
240ページ
平成18年
PHP研究所 刊
新装版(148mm×105mm)
240ページ

 

日本・中国を中心に先人のエピソードを紹介しながら、 指導者のあり方について、 102カ条にわたって述べた書。

 

PHP Interface PHP研究所

【文庫版】目次

文庫版への序文
まえがき(旧版)
あるがままにみとめる 18
いうべきをいう 20
怒りを持つ 22
一視同仁 24
命をかける 26
祈る思い 28
訴える 30
落ち着き 32
覚悟をきめる 34
価値判断 36
過当競争を排す 38
寛厳自在 40
諌言をきく 42
感謝する 44
カンを養う 46
気迫を持つ 48
きびしさ 50
決意をつよめる 52
権威の活用 54
原因は自分に 56
謙虚である 58
権限の委譲 60
見識 62
公平である 64
公明正大 66
志を持つ 68
心を遊ばせない 70
こわさを知る72
最後まで諦めない 74
自主性を引き出す 76
私心をすてる 78
指導理念 80
自分を知る 82
使命感を持つ 84
自問自答 86
衆知を集める 88
出処進退 90
小事を大切に 92
仁慈の心 94
信賞必罰 96
人事を尽くす 98
辛抱する 100
信用を培う 102
信頼する 104
好きになる 106
すべてを生かす 108
誠実である 110
責任感を持つ 112
世間に従う 114
説得力 116
世論をこえる 118
先見性 120
先憂後楽 122
即決する 124
率先垂範 126
大義名分 128
大事と小事 130
大将は内にいる 132
大将は大将 134
大所高所に立つ 136
正しい信念 138
ダム経営 140
調和共栄 142
使われる 144
適材適所 146
敵に学ぶ 148
天下の物 150
天地自然の理 152
天命を知る 154
徳性を養う 156
独立心 158
とらわれない 160
努力する 162
長い目でみる164
なすべきをなす 166
人間観を持つ 168
人情の機微を知る 170
熱意を持つ 172
ひきつける 174
人の組合わせ 176
人をきたえる 178
人を育てる 180
人を使う 182
人を見て法を説く 184
人を求める 186
日に新た 188
広い視野 190
不可能はない 192
方針を示す 194
包容力を持つ 196
ほめる 198
まかせる  200
見方をかえる 202
みずから励ます 204
無手勝流 206
命令する 208
目標を与える 210
持ち味を生かす 212
勇気を持つ 214
乱を忘れず 216
理外の理 218
再び謙虚と感謝220
あとがき(旧版)
参考図書
内容索引
人名索引

まえがき(旧版)

 文庫版発刊にあたって

 組織のメンバー一人ひとりが平凡であっても、その力やエネルギーを最大限に発揮させ、一定の方向に結集させる人に当を得れば、組織は発展していく。反対にメンバー一人ひとりの能力がいかにすぐれていても良き指導者にめぐまれなければ、組織は混乱し、衰退していく。組織運営の成否はつまるところ指導者によるところが非常に大きいということを、私は事業経営を通じてたびたび痛感してきた。
 そんなことから、指導者のあり方を勉強し、自分で一度整理をしてみたいという思いにかられ、PHP研究所の若い研究員の諸君に古今東西のすぐれた指導者の言行を調べ、収集してもらった。それはもう十数年も前のことであるが、本書はその資料をもとに昭和五十年に生まれたものである。
 以来、私は本書をみずからの座右の書として、折りにふれ読み返し、自分を正す資としてきたが、読むたびに教えられ、反省させられることが多く、良き指導者への道ははるかに遠い道のりであるという思いがますます深くなるばかりである。
 今日は、指導者のあるべき姿が特に厳しく問われている時代のように思われる。本書が「PHP文庫」に収録されたのを機に、指導的立場にある方々にさらに広くお読みいただき、はるかな道を着実に歩むための何らかのご参考にしていただけるならば、まことに幸いである。

  

平成元年一月
松下幸之助

まえがき(旧版)

 以前にテレビの歴史ドラマで、「天と地と」というのが放送されていたことがありました。ご承知のように上杉謙信の生涯を描いたものですが、その中で非常に強く印象を受けたことがあります。それは、謙信の父、越後の守護代である長尾為景が自分の領地をピシッと治めていたのですが、その為景が死んで息子の晴景の代になると、とたんに国が乱れ、争いの巷と化してしまったのです。指導者一人が交代しただけで情勢が一転してしまう、そういうシーンを見て、私は指導者というものはきわめて大事だとつくづく感じたのでした。
 実際、われわれの体験なり、見聞に照らしてみてもそういうことがいえると思うのです。一つの国でも、すぐれた指導者がいれば栄え、指導者に人を得なければ混乱し、衰えていきますし、会社でも、社長しだいでよくも悪くもなります。会社の中の一つの部や課にしても、その部長なり課長のよしあしで、業績が全くかわってくるわけです。
 結局一つの団体、組織の運営がうまくいくかいかないかは、ある意味ではその指導者一人にかかっているともいえましょう。その責任はすべて指導者一人にあるといってもいいと思うのです。
 だから、組織の大小をとわず、指導者の立場にある人は、そうした自分の責任の重大さをよく認識し、自分のあり方について、たえず反省、検討しなくてはならないと思います。
 私自身もつねづねそういうことを考えています。そして、自分を反省し、また高めていく意味において、古今のすぐれた指導者のあり方というものに学びたいと思い、PHPの研究員の人たちに、そうした人びとの言行について調べてもらって、折々にそれを聞きつつ、自分の参考としてきたのです。
 そのようにして聞いてみると、そこにまことに教えられるものが多いのです。それで、そうした中から百二の事例を選び、若干の私なりの感想を付記してまとめたのが本書です。だから本書は一面において、いわば自分の勉強のための教科書のようなものでもあり、私自身これを座右において、日々自分をただす資としていきたいと考えています。同時に、その意味において、政治の衝にあたる人びとから会社の班長、組長にいたるまで、世の指導者の人びと、また将来指導者たらんとする人びとにできるだけお読みいただければ幸いだと思います。すぐれた先人の業績に私同様必ずや教えられるものがあると思いますし、そうしたものをそれぞれのお立場で生かしていただくならば、それは国家の発展はもちろんのこと、さまざまな集団なり企業なりの発展を生み、多くの人びとに幸せをもたらすことになるでしょう。
 なお本書でとりあげた事例を調べるにあたって、巻末別掲のように多くの書物を参照させていただきました。ここにそのことを付記し、お礼申しあげるしだいです。

  

昭和五十年十一月
松下幸之助

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