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人間を考える(第二巻 日本と日本人について)
目次
まえがき | ||
序 章 | 人間の普遍性と国民性 | 7 |
第一章 | 日本の歴史と気候風土 | 25 |
第二章 | 日本の天皇制 | 55 |
第三章 | 日本の伝統精神 一・衆知を集める | 79 |
第四章 | 日本の伝統精神 二・主座を保つ | 95 |
第五章 | 日本の伝統精神 三・和を貴ぶ | 115 |
第六章 | 失われつつある日本の伝統 | 131 |
終 章 | 日本人であること | 159 |
補章一 | 日本の伝統と戦争 | 171 |
補章二 | 歴史、伝統と教育 | 197 |
あとがき |
まえがき
先に、「人間を考える=新しい人間観の提唱」というテーマで、人間とはどういうものか、どのような本質を持っているかということについて、一つの考え方をまとめ、発表いたしました。そしてその後、そうした人間の本質を正しく発揮し、共同生活の調和向上を実現していく道、いいかえれば新しい人間観に基づく人間道というものについて、「真の人間道を求めて」を草し、「新しい人間観の提唱」とあわせて、「人間を考える 第一巻」として刊行した次第です。
そのような基本的な人間観と人間道に基づいて、現実の共同生活における政治、経済、教育、宗教などの諸活動のあり方というものをさらに考えていくことが大切だと思います。そうした実社会の諸活動が適正に行なわれてこそ、人間の本質も正しく発揮され、真に好ましい共同生活も生まれてくると思うのです。
そこで、「人間を考える」の以下の巻においては、そうした新しい人間観に基づく政治、経済などの諸活動について研究していきたいと考えるわけですが、その前にまず、日本と日本人について考える必要がありはしないかと思います。日本とはどういう国であり、日本人とはどのような特質、伝統を持った民族であるかということを知った上で、それにふさわしい政治のあり方、経済のあり方、教育のあり方を考えていくことが大切だと思うのです。
そういうことで、第一巻発刊以来、私なりに日本と日本人について考えを進めてまいりましたが、ここに一つの結論を得ましたので、これを「人間を考える 第二巻」としてまとめたのが本書です。
もとより私は歴史については十分な知識も持っておらず、本書の内容もいわば常識的に考えたものですので、あるいは推断にすぎるというお叱りを受けようかとも思われますが、お互い日本人が自分の国、自分の民族について考え、正しい認識を持つ上で、いささかなりともご参考になればと考え、あえてご高覧に供する次第です。ご一読の上、ご意見、ご感想をいただければ幸いです。
昭和五十七年八月
松下幸之助