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著作から見た松下幸之助の世界

松下政経塾 塾長講話録

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昭和56年
PHP研究所 刊
『松下政経塾 塾長講話録』
四六判(190mm×130mm)
224ページ
平成7年
PHP研究所 刊
『リーダーを志す君へ』に改題
文庫判
248ページ

 

10年間の熟考の末に創設した松下政経塾において、自らが講師となり、塾生たちへ贈った熱き言葉の数々。

 

PHP Interface PHP研究所

目次

  
発刊にあたって
その一 加藤清正のように——入塾式訓話——
きびしい選考をへて入塾 14卒塾後、すぐに文部大臣でも16
やれば必ずできる  19
その二 まず人間の把握から
PHP研究から生まれた政経塾 24教育は普及したけれど 27
政党は候補者不足  30自分の言動が自分の未来をきめる 32
「無税国家」は実現できる35羊飼いは羊を知っている37
政経塾は自分で悟るところ40知識の奴隷になるな  42
その三 自分を知って
死ぬ気で出た入塾式 48一度は政経塾設立を断念50
反対した人も今度は賛成 52もし、若返ることができるなら54
預かり料を取るスイスの銀行57二十代で天涯孤独の身 59
ひもじい生活の少年時代 61夜は涙にくれた奉公当初63
盲人でも立派な「口入」に65自転車店をやめて電気を志す67
電灯工事で世間を知る70異例の若さで検査員に昇格 73
肺を病んで不思議に助かる76運が強くなくてはダメ 79
自分を知り相手を知る81ゴールデン・ゲートにビックリ83
やっぱり政治が大事 86日本は一番繁栄していい国 88
中国はこれから発展する 91素直な心の初段になれ 92
迷うほど偉大なものが生まれる 96
その四 世界人類のために
商売を通じて政治を考える100国鉄は高い運賃で赤字102
いまは志の遂げやすい時代104憲法も十年ごとに検討が必要106
二十一世紀はアジアの世紀109個人的な希望を一歩踏み越えて 111
無限の可能性にいどむ 114太閤さん以上のことができる116
道にかなっていれば成功する 118顧問をクビになったお坊さん121
自分一人のために朝夕勤行123病身が戦争を機に健康に 125
「天寿」は百六十歳127半年検討した「新しい人間観」 129
宗教界の人々も賛成134意志があれば必ず成就する137
区会議員選挙に出る138一度の戸別訪問で二位当選141
区会の同僚が会社の番頭に143戦争で消えた二千万の財産146
海軍の要請で飛行機生産148間違って財閥指定  150
PHPはわが救い主153
その五 日本を知ってから海外へ
掃除が完全にできるか 158海外・日本を四対六で160
知識でなく、実学で162高まる日本への関心 165
世の中は思う通りになる167工場実習で何を学ぶか170
徳を高めるコツは?172軍事力のコントロールはできる 175
保護色は自然の自衛力 177軍需産業と技術の進歩180
政治と経営は基本的に同じ184何にでも対応できるように186
死後の霊魂はどうなる 188
その六 天命に生きる
うまくやっているのでしょう 194とにかくがんばっていきたい195
自分は日本に何ができるか197「なりきる」ことが大切 200
一生懸命迷っている201サラリーマンと比べて203
問題意識にもどって206肌で味わい、舌で味わう208
大きな期待を感じる210心配するのが社長の仕事 213
悩みや煩悶もあっていい216政経塾は「言い出しべえ」218
信ずるところ、ものが生まれる220塾是のほんとうの意味は 222
もっと苦労しなくては 226すべてを許容していく229
絶対の悪も絶対の善もない231迷わず電機一筋に  233
目に見えない力が 235両親を感心させられるか 238
百年後の日本の青写真を240

まえがき

発刊にあたって

 先に松下政経塾における役員、講師の諸先生のお話をまとめた「講話録」を二冊にわたって発刊したところ、いずれも好評で、非常に多くの方々がお読みくださり、大変参考になったというお便りも少なからずいただいた。実は私は、最初に「講話録」を手にした時に、「これまで松下政経塾は二十三人の塾生の研修の場と考えてきたけれど、この本が出ることによって、読者の人もいわば塾生の立場に立つことになる。だから、政経塾は相当たくさんの人の勉強の場としての役割を果たすことになる」という意味のことを考えた。それだけに、同書が多くの方々に読まれ、お役に立っているのはまことにうれしいことである。
 ところが、そのように「講話録」が読まれてくるにつれ、その一方で「他の役員、講師の人の講話は実にいい内容だが、塾長である松下さんはどういう話をしているのか」ということを、いろいろな機会にたずねられるようにもなってきた。早く言えば、塾長である私の「講話録」も発表せよということである。
 もちろん、私も塾長である以上、時折塾へ行って塾生諸君に話をしている。しかしながら、これといった学識もない私のことだから、他の諸先生のようなまとまった話はできにくい。勢い、過去の体験なり、いまの社会に対する自分の思いというものを断片的に語り、それをもとにして塾生諸君と懇談するというようなかたちにならざるを得ない。
 そういうことで、私の話を発表することはいささかはばかられるのである。しかし、また一面に考えてみると、この松下政経塾において、塾長と塾生とが何を考え、どのような話をかわしているかを多くの人に知っていただき、それに対していろいろな助言をいただくことは、いわゆる衆知を集めた塾の運営を行なっていく上で、きわめて大切なことのようにも思われる。そのような意味から、つたない私の話であり、また塾生諸君も入塾して日も浅く未熟ではあるけれども、そのありのままのやりとりを、あえて公開することにした次第である。
 したがって、先の二冊の「講話録」のようにお役に立つものとは申しかねるが、本書をご一読いただき、松下政経塾および塾生諸君に対して、何かとご教導なり、ご声援をいただくことができればまことに幸いである。

  

昭和五十六年三月
松下政経塾塾長 松下幸之助

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