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その心意気やよし
【文庫版】目次
| まえがき | |
| 増補改訂にあたって | |
| サラリーマン諸君 | |
| ときには昇進も辞退する | 12 |
| 年始まわりは社内から | 18 |
| あなたは仕事に惚れているか | 24 |
| 安心して心配しなさい | 30 |
| あなたの働きはいくらか | 36 |
| 身も心も、そして財産も | 42 |
| 結婚は大事だけれど | 48 |
| あなたは仕事のプロである | 54 |
| 打ちこむ | |
| その心意気やよし | 62 |
| 業即信仰 | 68 |
| 生涯相まみえなくても | 72 |
| お山の大将 | 77 |
| 誠意あればこそ | 82 |
| やればできる | 87 |
| 馬番としての秀吉 | 92 |
| 求める | |
| 叱ってもらおう | 98 |
| 横綱にしていただく | 104 |
| 一人がめざめれば | 109 |
| 給料を返上した話 | 114 |
| みずからを高める | 119 |
| 是なることは一刻も早く | 124 |
| 信長とフォード | 129 |
| 素直な心で | |
| みずからを省みる | 136 |
| 将棋とファンづくり | 140 |
| 七十点以上の人間に | 144 |
| 宮本武蔵と電子計算機 | 148 |
| 時を尊ぶ心 | 153 |
| 千七百軒の店舗 | 158 |
| 人として | |
| 欲ということ | 164 |
| 心の病気 | 168 |
| 鯉と教育と | 173 |
| 早春閑日 | 177 |
| 心をかよわすために | 181 |
| 道は無限にある | 186 |
| 日々を生きる | |
| 物語にならない話 | 192 |
| 大きな縁のもとに | 197 |
| 凡人の歩む道 | 203 |
| 大器晩成ということ | 209 |
| 仕事というもの | 214 |
| 女らしさの幸せ | 219 |
| 日本を考える | |
| 二本の巻物 | 224 |
| 高野山にて | 229 |
| 争わず認めあう時代 | 234 |
| 正常な姿に戻す | 239 |
| バランスある姿 | 244 |
| 転換期に立つ | 249 |
まえがき
いまをさかりの遊女高尾大夫に、一目ボレした紺屋の職人久どん。ぜひ会いたいの一心から、夜の目も寝ずに働きつづけて三年間。ようようためた十五両。それを一夜で散じたその心意気に、私は自分のとうてい及ばないものを感じて、いたく心打たれる思いがした。
本書の題名ともなった、この久どんの話をはじめとして、ここにおさめた三十八編の随想は、若い人びとに対していろいろな機会に語ったり書いたりした話をまとめたものである。その内容はお読みいただけばわかるように、仕事に取り組む心がまえといったものもあれば、人生なり社会の問題についての私なりの考え、あるいは四季折り折りの感懐をつづったものなどさまざまである。
今日の世の中をみていると、いろいろと問題も多く、また変化もはげしい。日本といわず、世界全体が何かしら一つの大きな転換期に直面しているような感じさえ時にしないでもない。そのようなときにあって、お互いに人間として、社会人として、また日本人の一人として、何を考え、何をしていったらいいのか、そういうことをそれぞれの立場で自分にも問い、またともに考えあっていくことが大事なのではないだろうか。
本書の一編一編は、私なりにそういった思いを若い人びとに訴えたいという気持ちから出たものである。もっとも社内での内輪話が多く、意をつくし得ていない点もあろうが、そのような意味からいささかなりともご参考になれば幸いに思い、あえてご高覧に供したしだいである。
昭和四十六年六月
松下幸之助
増補改訂にあたって
さきに出版した本書は、幸いにして多くの方がたからご好評をいただき、有難く、感謝している。
このたび、本書の判型を改め、また内容についても、以前『週刊文春』に連載した「サラリーマン諸君!」の中から八編をえらんで追加収録し、増補改訂版とした。
本書が若い人びとにいささかなりともご参考となれば、まことに幸せである。
昭和四十八年八月
松下幸之助












