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社員稼業
【文庫版】目次
まえがき(旧版) | |||
社員稼業ということ——序にかえて | |||
一話 | 生きがいをどうつかむか | ||
若さを失わない秘訣 | 23 | ||
やさしく物をみる | 25 | ||
適任者をどう選ぶか | 28 | ||
あなたの生きがいは? | 30 | ||
自分の人生を設計する | 32 | ||
運命に従う | 35 | ||
生きがいのない人いませんか | 38 | ||
理想の男性像 | 42 | ||
理想の夫婦像 | 44 | ||
世間は道場である | 46 | ||
素直な心の初段になる | 48 | ||
現代こそ生きがいのある時代 | 52 | ||
・著者のことば | 55 | ||
二話 | 熱意が人を生かす | ||
覚悟をきめる | 61 | ||
責任を自覚する | 64 | ||
会社は公のもの | 68 | ||
先輩にもいろいろある | 70 | ||
ありがたいお得意とは | 71 | ||
人間の弱さを知る | 74 | ||
上司を使う人間になれ | 78 | ||
正しいことをいう信念を持つ | 81 | ||
提言のすすめ | 84 | ||
熱意が道をひらく | 85 | ||
・著者のことば | 88 | ||
三話 | 心意気を持とう | ||
子どもほどけんかする | 95 | ||
社員学の第一歩 | 97 | ||
“自分が社長”の心意気を | 101 | ||
適材を適所に生かす | 107 | ||
自分がよければ天下泰平か | 110 | ||
困難に直面して力をつける | 116 | ||
運命を開拓する | 120 | ||
衆知を集めよう | 122 | ||
身につまされて価値を知る | 124 | ||
自分も大事、他人も大事 | 127 | ||
・著者のことば | 130 | ||
四話 | 何に精魂を打ち込むのか | ||
何よりも健康が大事 | 137 | ||
不幸への落とし穴 | 139 | ||
人を使う苦しみ | 141 | ||
仕事のコツを体得する | 143 | ||
私の奉公時代 | 146 | ||
命をかける思い | 149 | ||
なぜヒットラーは失敗したか | 152 | ||
働く者の真の使命 | 155 | ||
・著者のことば | 157 | ||
五話 | 若き人びとに望む | ||
困難な境涯に打ち勝つ | 163 | ||
一つのことに打ち込む | 164 | ||
相手を見ぬく | 168 | ||
信長の長所 | 172 | ||
人を見て法を説く | 175 | ||
適性を生かす | 177 | ||
自己認識ができないと失敗する | 179 | ||
秀吉は自分をよく知っていた | 181 | ||
人のまねだけでは成功しない | 183 | ||
みんなが違う | 185 | ||
利害にこだわらない | 188 | ||
天分をみがく | 191 | ||
若さを大切にしよう | 194 | ||
・著者のことば | 197 |
まえがき(旧版)
これまで私は、いろいろな機会に、たのまれて若い人たちに話をしたことが少なからずあるが、そういった話をまとめて本を出してほしいというご要望も多くいただいていた。そこで今回、これまで私が若い人たちに話したもののなかから、とくに会社、商店などに勤める若者に話したものを中心にいくつかえらんで、本書をまとめてみたわけである。
標題の「社員稼業」という言葉は、あるいはききなれない言葉かとも思うが、これはかつて私が松下電器の社員に向けて話したものである。その意味するところ、内容については、本文のはじめにくわしくのべているが、一言でいうなら、会社に勤める社員のみなさんが、自分は単なる会社の一社員ではなく、社員という独立した事業を営む主人公であり経営者である、自分は社員稼業の店主である、というように考えてみてはどうか、ということである。
そういう考えに立って、この自分の店をどう発展させていくかということに創意工夫をこらして取り組んでいく。そうすれば、単に月給をもらって働いているといったサラリーマン根性に終わるようなこともなく、日々生きがいを感じつつ、愉快に働くこともできるようになるのではないか。自分が社員稼業の店主であるとなれば、上役も同僚も後輩も、みんなわが店のお得意でありお客さんである。そうすると、そのお客さんに対し、サービスも必要であろう。第一、商品を買っていただかなくてはならない。創意工夫をこらした提案を、誠意を持って売り込みに行く。用いられたとなれば、わが店、わが稼業は発展していくわけである。その発展は自分だけでなく、社内に及び、さらには世の中に広がっていく。だからこの社員稼業に徹することは、自分のためにも、会社のためにも、社会のためにもなるわけである。私は、こういうようなことを考えて、「社員稼業」ということを話し、提言したわけである。
現在、会社、商店などに勤める若い人びと、またこれから社会へ出ていこうとする若い人びとは数多くおられると思うが、私はそうした若いみなさんが力強く仕事に取り組み、楽しく生きがいを感じつつよりよき人生を歩んでいかれるよう願っている。
本書がそういう若いみなさんの何らかのご参考になれば、まことに幸せである。
昭和四十九年十月
松下幸之助