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人生心得帖
目次
まえがき | |
人生の航海術 | 6 |
運命に光彩を | 10 |
磨けば輝く人間の本質 | 14 |
人間としての成功 | 18 |
天分の発見 | 22 |
まず信頼すること | 25 |
感謝する心 | 29 |
こわさを知る | 33 |
人情の機微 | 36 |
日々の体験を味わう | 39 |
長所も短所も | 42 |
流されずに聞く | 46 |
仕事と運命 | 50 |
熱意と誠意 | 53 |
学問を使いこなす力を | 56 |
病とつきあう | 60 |
悩みの解消 | 63 |
続けること、辛抱すること | 67 |
自己観照 | 70 |
無用のものはない | 74 |
物を泣かさず | 78 |
年齢と持ち味 | 82 |
女性と仕事 | 86 |
親の責任 | 90 |
人生を生ききる | 94 |
“生きがい”ということ | 98 |
よき人生とは | 102 |
天寿を全うする | 106 |
まえがき
私はまもなく満九十歳を迎えようとしています。大阪へ奉公に出るために、見送りに来てくれた母とともに、郷里の紀ノ川駅に立っていた九歳のあの日のことが、まるで昨日のことのように思い出されます。それから八十一年、いろいろなことがありました。よく人から「苦労されたでしょう」ということを言われるのですが、不思議とそのような実感はありません。とにかく、その日その日を仕事に懸命にうちこみつつ、歩んできました。そして、さまざまなことに出会い、いろいろな人にお会いし、今日このような自分がある。そのことを思うと、世と人と仕事というものに心から感謝をしたい気持ちでいっぱいです。
私は、そうした歩みの折々に考え感じたことを、これまで求められるままに書いたり話したりしてきました。この『人生心得帖』は、それらの中から人生にかかわることを、改めてまとめてみたものです。
奥行きが深く、複雑で微妙な人生。まだまだ修業途上にある私が、人生について語るのはおこがましい限りです。しかし、私なりの体験とそれに基づく考えが、みなさんのよりよき人生のために、いささかなりともお役に立てばとの願いから、あえてまとめてみた次第です。ご意見、ご感想等お聞かせいただければ幸いです。
昭和五十九年八月
松下幸之助