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人生談義
目次
『人生談義』発刊に当たって | ||
Ⅰ | 人生談義 | |
運命というもの | 15 | |
自分には運がある/積極的なあきらめ/努力と運命 | ||
心というもの | 19 | |
心は如意棒/困っても困らない/幸せの原点/利益だけでは動かない | ||
長所と短所 | 24 | |
一病長命/知恵と力の功罪/秀吉と光秀 | ||
自信ということ | 28 | |
禍転じて福となす/どちらに目を向けるか/正しいという信念/スズメに学ぶ | ||
熱意ということ | 33 | |
ハシゴを考え出すのは‥‥‥/常識を破る力/百倍のひらきはどこから/磁石のように | ||
“学ぶ”ということ | 37 | |
社会は人生学校/模倣から独創へ/エジソンの熱意/終生勉強 | ||
病と健康 | 42 | |
これも運命だ/寿命だけは生きられる/不健康者の商売/病と仲よく/素直に、ありのままに | ||
お金というもの | 46 | |
金は仕事の潤滑油/仕事の価値がお金を呼ぶ/値打ちのある金/不自由の中で知る値打ち/銀行とのつきあい/お金には労苦がこもっている | ||
体験ということ | 51 | |
人間としての知恵/“百聞百見は一験にしかず”/体験が知識を生む/現場実習の意味/真の体験は頭の中にある | ||
素直な心について | 55 | |
真実を見る心/とらわれていないか/ひがみも発奮材料に/素直の初段めざして | ||
“生きがい”ということ | 59 | |
生きがいの条件/幸せな時代/ぼくの生きがい/他人は与えてくれない | ||
“日に新た”ということ | 64 | |
湯王のいましめ/坂本竜馬と西郷隆盛/老舗も危ない/万物は常に変化している | ||
志ということ | 68 | |
志を遂げやすい時代/命をかける心意気/成功するまでつづけて成功 | ||
“働く”ということ | 73 | |
働くことは生きがい/求めがあるから仕事がある/給料以上の仕事/働きを高めよう | ||
責任ということ | 77 | |
キリストの偉さ/自分もかくありたい/一人ひとりが責任者 | ||
“ケジメ”ということ | 82 | |
得心がいってこそ/商売は公の仕事/ぼくの遅刻 | ||
物と心 | 86 | |
商売の原点/物には魂がこもっている/バランスをはかりながら | ||
対立と調和 | 90 | |
ライバルあればこそ/労使は車の両輪/池は池、松は松、けれど‥‥‥/自然の理法 | ||
物を見る基準 | 95 | |
ラジオは故障するもの?/狭いか広いか/人間は幸せになれるもの | ||
人情というもの | 99 | |
北風と太陽/味なことした明治政府/従いつつ導く | ||
“役割”ということ | 103 | |
老門番の誇り/無言の契約/殿様と大根役者 | ||
“夫婦”というもの | 108 | |
家内がいればこそ/信用のバロメーター/ほめあうことが必要 | ||
“父親”というもの | 112 | |
心の財産/転機となった一言/無言の教育 | ||
“母親”というもの | 117 | |
紀ノ川駅での別れ/あふれる愛情/偉大なる力/親孝行のすすめ | ||
“幸せ”ということ | 121 | |
物心一如/感謝の心を/幸せの三つの条件 | ||
成功ということ | 125 | |
もっと深い意味がある/天分を生かし切る/自然本来の姿に戻ろう | ||
欲ということ | 130 | |
欲は悪の根源か/人間がカジを握っている/充実した人生を送る法 | ||
“徳”ということ | 134 | |
陛下の勇気/明治維新と西郷さん/はるかな道を着実に | ||
不平不満の解消 | 138 | |
名人は無理解な師匠から/不満を希望に/一歩の差が千里の差 | ||
サービスについて | 142 | |
まずサービスを/商売発展の秘訣/十もらえば十一返す | ||
無理ということ | 147 | |
天地自然の理/商売のコツ/素直な心で | ||
Ⅱ | 思うまま 感ずるまま | |
人生を生き切る | 153 | |
便利なものができないか/病床からの提案/生命が尽きる瞬間まで | ||
物にきいてみる | 158 | |
なぜ石炭が足りないのか/適切な処遇を/物が嘆いている | ||
五十一年前のお年玉 | 163 | |
如何なる仕事も一つの経営/コツをつかむ/素直な心になれば | ||
功徳天と黒闇天 | 168 | |
幸福の本質/奉公時代の喜び/幸福よし、不幸またよし | ||
“もう一度”の勇気 | 174 | |
事業を始めた頃/戦争の後の苦難/あきらめては成功はない | ||
“縁”あって | 179 | |
ぼくの結婚/意志を超えた大きな力が‥‥‥/人との関わりを大事にしたい | ||
成るものは成る 成らぬものは成らぬ | 185 | |
ある要求/とらわれてはいけない/理にかなえば必ず成る | ||
心を豊かにする発想 | 190 | |
二つの見方/全部ぼくのもの/より明るい物の見方を | ||
つながりあって生きている | 196 | |
電池ランプ開発/まず相手を喜ばすこと/要望に答えあおう | ||
春を待つ心 | 202 | |
倉庫は在庫の山/生産半減、半日勤務/力をたくわえ時を待つ | ||
人を見て法を説く | 207 | |
一休さんの工夫/人の心は千変万化/相手をよく知って‥‥‥ | ||
人事を尽くして‥‥‥ | 213 | |
運命の不思議さ/積極的に受けとめて/運命を生かす | ||
自分の値打ち | 219 | |
中小企業は弱くない/短所も長所に/短所にこだわる必要はない | ||
汗の尊さ | 224 | |
五時間の大激戦/歓喜にみちた選手たち/汗の中から知恵が出る | ||
苦しくとも楽しい日々 | 230 | |
五人での船出/家内は質屋通い/口喧嘩をしつつも |
まえがき
『人生談義』発刊に当たって
松下幸之助PHP研究所前所長は平成元年四月二十七日、九十四歳の生涯を閉じましたが、その生涯を通じて事業に心血をそそぐかたわら、人間とは何か、人生とは何か、人間としての成功とはどのようなことなのかを考えつづけてきました。
そして、そこで得た一つの結論は、人間にはそれぞれその人だけに与えられた天与の特質がある。その特質を最大限に発揮できるとき、充実感や喜びを感じることができ、それが「人間としての成功」ではないか、ということでした。ですから、松下電器の社員にも、常に、「職場は人生の道場である。給料をもらうだけのところではない。地位が上がって偉くなるだけのところでもない。最も大事なのは、一人の人間として、職場の中で、自分の個性、持ち味を十分に発揮できるようにしていくことだ。自分自身のかけがえのない人生を、会社で仕事をすることを通じて、自分の力で充実したものにしていくことだ」と訴えてきました。
さらにまた、『PHP』誌を中心として、さまざまなところで人生についてのみずからの思い、願いを語ってきています。
本書『人生談義』は、よりよく生きるためのいわば人生メモとして、九十二歳から九十四歳の亡くなる寸前までの間に語ってきたもので、『PHP』誌に昭和六十二年一月号より平成元年七月号まで連載されました。その七月号の原稿が絶筆となったわけですが、連載終了後、読者の皆さまより「ぜひ書籍としてまとめて欲しい」というたくさんのご要望をいただきました。そこで、昭和五十九年一月号より三年間連載された「思うまま 感ずるまま」より十五編を選び付け加えて、あらためて一冊にまとめさせていただきました。
ともすればあわただしさに流されがちな日々、本書を、みずからを見つめ、より充実した人生を築いていく上で、いささかなりともお役立ていただけますならばまことに幸いです。
平成二年四月吉日
PHP研究所