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商売心得帖
目次
まえがき | |||
第一章 商売の心得いろいろ | 5 | ||
世間は正しい/対立と協調と/どれほど喜ばれているか/販売に成功するためには/笑顔の景品を/自分の店の力を判定しつつ/声をかけるというサービス/魂を入れた値段であれば/商売冥利/自分一人の商売ではない/総合病院と町のお医者さん/新しい時代の値段/お得意を広げる/よしみを通じる/お得意先はわが親戚/お得意先の仕入係になる/業界の安定は共同の責任/二十人の小僧さんの顔/商品を大切に/まずサービスから/名君と忠臣/お得意先と仕入先のことが気になって/お得意先のありがたさ/呼びかける/商品を発意する/不景気だからこそ/街の品位を高める/利は元にあり/集金と支払いについていつも敏感に/夫婦の仲が良ければ/絶対安心の境地/明朗公正な競争を | |||
第二章 人事の心得いろいろ | 75 | ||
人を集める第一歩は/長所を見つつ/人を育てるには/好きこそものの上手なれ/一人の責任/人づくりは“打つ”ことから/頼もしく思って人を使う/衆知を生かすために/部下の提案を喜ぶ/経営者の心根/ある問屋さんの立腹 | |||
補章 古今の家訓・店訓・社訓いろいろ | 99 | ||
あとがき |
まえがき
これまで、私が松下電器の経営にあたってきたなかで、商売の心得として、そのときどきに話し、また書いてきたものがいろいろあります。それらをまとめたものがほしいというお声を最近ずいぶんいただくようになりました。そこでそのいくつかをえらんでみました。このようにまとめて見直してみますと、結局、商売には、次のような基本姿勢が大切だと思いました。
つまり、仏教徒の方々の生活態度は、朝に礼拝、夕べに感謝といいますが、われわれ日々仕事にたずさわる者も、朝に発意、昼は実行、そして夕べに反省、こういう日々をくり返したいということです。同様に、毎月、毎年のはじめに発意、おわりは反省。そして五年たったら、その五年分を反省する、そうすると五年間に実行してきたことのうち、よかったこと、よくなかったことがある程度わかってくると思います。
私自身の経験では、おおむねあやまちないと思っていても、五年後あらためて考えてみれば、半分は成功だったが、半分はしなくてもいいこと、失敗だった、ともいえるように思うのです。そのように反省しつつ歩むならば、次の歩みをあやまち少なく進めることもできるわけです。
要するに商売というものは、この発意、実行、反省が大事なことであり、私自身も、こういう基本姿勢をさらに重要視していかねばと、あらためて痛感している次第です。と同時にこの本が多少なりとも、みなさまのご参考になればまことに幸せです。
昭和四十八年一月十日
松下幸之助