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決断の経営
【文庫版】目次
まえがき(旧版) | |
序章 私の決断のしかた | |
第一章 事をおこす | |
人生に失敗などはない —独立自営への決断— | 24 |
身をすててこそ浮かぶ瀬も —自転車ランプの無料配布— | 29 |
需要をどう見るか —アイロンの大量生産— | 34 |
自分をマナ板にのせる —電球発売時の協力要請— | 39 |
見えざる契約を見て —五カ年計画の発表— | 44 |
お互いに夢を描きたい —松下政経塾の構想— | 49 |
第二章 迷いと確信 | |
あきらめと度胸 —肺尖カタルの宣告— | 56 |
人間は神様ではない —ある人の提案に動揺— | 60 |
世間の声はさまざま —門真地区進出に際して— | 64 |
経営の価値を認めてもらう —三%の経営指導料— | 69 |
世界企業を番頭にやとう —フィリップスへの二億円— | 74 |
熱意がものを生む —ハイパー乾電池の開発— | 79 |
ドロを落とせば中身は金 —日本ビクターを引き受ける— | 83 |
“やめる”という決断 —大型電算機からの撤退— | 88 |
第三章 正しい道 | |
汗まみれの従業員の顔が浮かんで —適正な価格を追求する— | 94 |
世間にもまちがいはある —初めて買った自動車— | 98 |
売るべきものは売るしかない —生産は半減し解雇せず— | 103 |
やむにやまれぬ気持ちで —なぜPHPを始めたか— | 108 |
あやまちは改めてもらう —財閥指定に四年間抗議— | 113 |
“不可能”だからできる —二〇%の値下げ交渉— | 118 |
事の成らざるは自分にあり —熱海会談での感動— | 123 |
非常時の決断のしかた —営業本部長代行— | 129 |
第四章 求める心 | |
決断できなかった話 —小僧奉公をやめたとき— | 136 |
ほどほどで切り上げる —真空管を短期間売る— | 140 |
あやまちを認める —電熱部の共同経営の失敗— | 144 |
必要なものは値打ちで買う —ある工場の買収にあたって— | 148 |
お得意先の立場を第一にして —故障しないラジオを製造— | 151 |
使命を見出して歩む —第一回創業記念式— | 157 |
まかされたら感激する —事業部制の採用— | 162 |
若気の至りの決断 —木造の船と飛行機— | 166 |
第五章 人を動かす | |
人をつかう上での哲学 —不正を働く者の存在— | 172 |
人の育て方と決断 —自分でした便所掃除— | 176 |
信賞必罰の実行 —給料を返上した話— | 180 |
許可を得てのべた祝辞 —松下労組の結成— | 184 |
海外に負けない仕事をするには —週五日制の採用— | 188 |
今がそのときである —社長を退き会長に就任— | 192 |
二十一世紀への活動のために —山下新社長の選任— | 197 |
あとがき(旧版) |
まえがき(旧版)
われわれは、日々、さまざまの面で決断を迫られている。仕事上の問題もある。また人生上の問題もあろう。経営にしろ商売にしろ、また家庭や学校、その他社会のあらゆる面の生活、活動の上において、決めなければならないことが次つぎと出てくる。
決めにくい問題もある。決めたくない問題もある。決めることがむつかしい事柄もあろう。けれども、だからといって、決めないままで日をおくっていては、事は進まない。問題は解決しない。よりよい姿は生まれない。
だから、われわれ人間は、決めなければならないときには決めなければならない。勇気をふるって決断を下さなければならない。それが日々、われわれに求められているのである。
迷うときもあろう。どうしたらいいかわからないときもあろう。それは人間だれしも同じだと思う。だから、お互いに、他の知恵に耳を傾け、衆知を集めて、のぞましい判断、決断を求めていきたい。
そうして、それぞれが日々の生活、活動において適切な決断を下すことによって、お互いによりよい人生、活動を進めていきたい。それがお互い人間の共同生活の向上につながり、やがてきたるべき二十一世紀への新しい歩みにもつながるのではなかろうか。
本書は、私のこれまでの経営上の体験の具体例をとりあげ、それを決断という観点から改めて見直したものである。こうしたものが果たしてお役に立つかどうかわからない。が、あるいはこうしたものもみなさんの日々の決断にあたってなんらかのご参考となるのではないか、という気もする。そういうことから本書をまとめてみたわけであるが、ご高見いただければまことに幸せである。
昭和五十四年二月
松下幸之助