HOME > 著作から見た松下幸之助の世界 > マネジメント > 経営のコツここなりと気づいた価値は百万両
経営のコツここなりと気づいた価値は百万両
目次
まえがき | |
第一章 商売のコツ 経営のコツ | |
雨が降れば傘をさす | 8 |
率先垂範が部下を動かす | 12 |
作為的な人材育成は成功しない | 15 |
“錦の御旗”を持つ | 19 |
二代目は腹の底からの熱意で勝負 | 23 |
商売で損をすることは本来あり得ない | 25 |
好況よし 不況さらによし | 28 |
中小企業は人を一〇〇パーセント以上生かす | 31 |
まかせてまかせず | 34 |
抜擢人事には介添えが必要 | 37 |
“カン”でわかるか | 40 |
会議はおおむね非能率 | 43 |
先に買う人は進歩への貢献者 | 46 |
値切って信頼されてこそ本当の仕入れ | 49 |
社長は軍師ではない | 52 |
経営力がどれだけ向上しているか | 55 |
時代をつくっていく経営をしたい | 58 |
経営も“腹八分目”が大事 | 61 |
経営の適格者が力を発揮できる社会にしていきたい | 64 |
求める心さえあれば衆知は集まる | 67 |
うまくいかない原因は自分自身の内にある | 71 |
社員に夢を持たせない経営者は失格である | 74 |
経営のコツここなりと 気づいた価値は百万両 | 76 |
第二章 経営者の心得 | |
結局は社長一人の責任 | 84 |
平穏無事の一日にも体験がある | 86 |
経営は手品ではない | 89 |
経営者には社員の注目が集まっている | 91 |
引くに引けないという決意が道をひらく | 93 |
いざというときに社員から借金できるか | 96 |
部下のために死ぬ覚悟があるか | 99 |
たえず自分で自分を励ましていなければいけない | 101 |
悩みこそ社長の生きがい | 103 |
右手に経営 左手に政冶 | 106 |
商売に行きづまりはない | 109 |
自分は生きた芝居の主人公 | 112 |
病弱と寿命は別のもの | 116 |
青春とは心の若さである | 119 |
あとがき |
まえがき
私は、お互いの商売、経営を繁栄発展させていく道というものは、いかなる困難、混迷の世の中においても必ず見出し得るものだと考えています。乱世といわれ、時代の転換期といわれて、いろいろむずかしい問題が次つぎに起こってくる今日の商売、経営についても、その対処の道は、いわば千種も万種もあるといってよいのではないかと思うのです。
しかし、そうした対応の道を適時適切に見出していくためには、やはりお互いが商売のコツ、経営の勘所というものを、それぞれなりにつかんでいる必要があると思います。ただ熱心に仕事をするというだけでは必ずしもうまくいかない。やはり商売、経営のコツをしっかりつかんだ上で懸命に努力してこそ、変化の激しいきびしい状況にも縦横に対応でき、混迷、困難を新たな発展の転機としていくことができるのだと思います。商売のコツ、経営のコツをつかむということは、まさに本書の標題のとおり、百万両いやそれ以上の価値があると思うのです。
私は、これまでの経営体験の中で、そうした商売、経営のコツの大切さについて折にふれて考え感じてきましたが、そうしたことの一端をあらためてまとめてみたのが本書です。それらはいずれも、私自身の体験に基づく私なりの行き方考え方にすぎませんが、今日、きわめてきびしい環境の中で、それぞれのお立場で日夜にわたる真剣な努力を重ねておられるみなさまに、いささかなりとも参考になるならば、まことに幸いに思います。
昭和五十五年三月
松下幸之助