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危機日本への私の訴え
目次
まえがき | ||
不況期の心がけ | ||
これまでとは異質の不景気 | 13 | |
目先の損得にとらわれない | 16 | |
お得意様と苦労をともにする | 18 | |
蓄積を減らす覚悟も | 20 | |
不景気に自家用車を買う | 21 | |
友人に建築をすすめた話 | 23 | |
今の日本に金持ちはいない | 24 | |
片手にソロバン、片手に政治 | 27 | |
お互いが政治の責任者 | 29 | |
自己の責任にどう答える | 30 | |
世界一高い日本の物価 | 32 | |
過当競争は物価を上げる | 33 | |
あるお坊さんのいましめ | 36 | |
日本の将来を考えよう | 38 | |
日本の教育を見直す | ||
「崩れゆく日本をどう救うか」の反響 | 39 | |
日給一万円の大工さん | 42 | |
教育の場が多すぎる? | 44 | |
企業内学校の問題点 | 46 | |
国家検定試験の活用 | 48 | |
インドネシア政府の心配 | 50 | |
再び物価は高騰する | 52 | |
企業の採用と大学進学 | 54 | |
大学生は自然に減るか | 58 | |
物価を抑える妙法は | 59 | |
理想の人間像について | 62 | |
平均的人間をつくる傾向 | 64 | |
東大解体論には反対 | 66 | |
本当の民主主義 | ||
銀行の価値は大きい | 67 | |
税金のなかった時代 | 70 | |
一日国税局長の訓辞 | 72 | |
ケネディ大統領の大減税 | 75 | |
民主主義とはきびしいもの | 79 | |
他に求める時ではない | 81 | |
共同して国を支える覚悟 | 83 | |
生きた芝居の日々 | ||
私の大阪電灯会社時代 | 87 | |
皆勤によって収入を確保 | 88 | |
忘れられぬ極楽の思い出 | 90 | |
映画館はフリーパス | 92 | |
名妓八千代からのご祝儀 | 94 | |
一人前になるためには | 97 | |
戦争前後の私の財産 | 99 | |
理想の世の中づくりを | 102 | |
日に新たな労使関係を | 104 | |
外国に与え得る日本文化を | 105 | |
企業はやはり儲けなければ‥‥‥ | 107 | |
何をなすべきかをさとる時代 | 109 | |
生きた芝居の主役を演じる | 111 | |
三世紀は生きる決意 | 113 | |
夢をもちつつ働こう | 115 | |
戦後三十年を迎えて | ||
八月十五日の思い出 | 117 | |
万物は日に新たなり | 119 | |
あたり前になった文明の利器 | 121 | |
見失いつつある日本精神 | 124 | |
“明治生まれ”の責任 | 125 | |
三世紀は生きつづけたい | 128 | |
日本人はみな兄弟 | 130 | |
和の精神を掲げつつ | 132 | |
アメリカの民主主義 | 133 | |
日本の民主主義を見直そう | 135 | |
非常事態に処する道 | ||
まず非常事態の認識を | 137 | |
アメリカの経済対策 | 139 | |
若き経営者に期待する | 142 | |
戦後の復興に潜在していたもの | 143 | |
各企業軒並みの借金経営 | 145 | |
限度がきた税の自然増収 | 147 | |
政府の借金政策しかない | 150 | |
なすべきことは無限にある | 152 | |
ほんとうの政治をする好機 | 154 | |
本格的な政治研究所を | 156 | |
政治家と官僚について | 158 | |
知育、徳育、体育のバランス | 160 | |
減税は本当にやるべきか | 163 | |
物を大事にする伝統の心 | 164 | |
おわりに | 167 | |
将来の日本を考える | ||
不景気はまだまだ深まる | 169 | |
この際は腹を決めよう | 171 | |
雨が降れば必ずぬれるもの | 173 | |
天皇陛下のご訪米に思う | 175 | |
生きた芝居をみずから演ずる | 177 | |
政治家よ、目覚めてほしい | 179 | |
心を養いつつ時を待とう | 182 | |
甘えを助長したこの三十年 | 185 | |
明治生まれの責任を問う | 187 | |
まず国の方針が大切 | 190 | |
百兆円の先行投資国債を | 194 | |
日本は政治のしやすい国 | 196 | |
日本精神とは何か | ||
日本精神は天皇家の精神 | 199 | |
日本精神の三本の柱 | 201 | |
まずおのれを知ること | 204 | |
日本人共通の主座に立つ | 207 | |
天皇はなぜ尊敬されるのか | 208 | |
新聞社としての見識をもって | 211 | |
不況に生き抜く経営 | ||
個々の力では道はひらけない | 215 | |
人為現象なら必ず直せる | 217 | |
日に一億円の赤字を出す会社も | 220 | |
もし今が昭和の初期であったなら | 222 | |
今日の日本は恵まれている | 223 | |
日本伝統のふしぎな力 | 224 | |
「政治即経済」の世の中 | 228 | |
経済界からもドシドシ提言する | 229 | |
日本の百年先を考えよう | 232 | |
ますます深刻化する国民総赤字 | 235 | |
あとがき |
まえがき
ことしのはじめに私は「崩れゆく日本をどう救うか」という本を書きました。そして、日本は危機に直面している、このまま放っておいたならば不景気が深まるだけでなく、社会全体が行きづまってしまう、だから危機を呼んだ要素を再点検し、抜本的な改革を断行していかなければならないと訴えたのでした。
ところが、その後のわが国の情勢は、ますます悪化の一途をたどっています。そのことに一人でも多くの日本人が目覚めて、政治、経済、教育その他、社会各面の改革をはかっていかなければ、ほんとうに日本は沈没し、国民また路頭に迷うことにもなりかねません。
そういう思いを私は、いろいろな機会に訴えてきました。ここ数年は、少々声を痛めていることもあって、大ぜいの人の前でお話しすることをできるだけ避けてきたのですが、ことしは健康の許す範囲でお引き受けし、私の思いを率直に訴えてきたのです。
本書は、それらの講演のなかから、九編を収録したものです。したがって内容的には多少重複している個所もありますが、話の流れもありますので、一部そのままにしておきました。
何とぞお目通しいただき、この日本の危機をどう切り抜けていけばよいのかということを、ともどもに考え合うための一つのご参考にしていただけますならば、まことに幸いに存じます
昭和五十年十一月
松下幸之助