松下幸之助用語

大胆に人を使う

 

用語解説

 松下電器が七、八十人の規模になったときのことだ。社員のなかに不正を犯す者が出た。松下幸之助は、生来の潔癖症もあり、その社員の処遇に悩み、眠れぬ夜を過ごした。二日目の夜、ふと「日本中に罪人と呼ばれる人はいったい何人くらいいるのだろう。おそらく、軽犯罪的なものも含めれば、百万人くらいいるかもしれない」と思った。ならば、社員のなかに一人くらい罪人がいても不思議ではない。正しい人ばかりを望むのは欲の深い話だ。
 「よくないことをする人がいるのはやむを得ない。それを容認していかないことには、人は使えない」と、スッと悩みが解消してしまった。これを契機に松下幸之助は、大胆に人を使えるようになったという。