Q11:この幸之助の言葉の○○に当てはまるのは?

「貧困は○○をつくりだすものである」

 (1)罪悪

 (2)闘争

 (3)革命

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解答&解説コラム

 (1)の「罪悪」が正解です。確かに「貧困」は排されるべきものではありますが、幸之助は、なぜ「貧困」が「罪悪」とまでいうのでしょうか。それを知るには、幸之助が生きた時代に目を向けることが必要になりそうです。
 1894(明治27)年に生まれた幸之助。当時の日本は、欧米諸国に比べれば「貧」の状態でした。その繁栄ぶりに追いつけ、追いこせという富国強兵の気概が漲るなか、1918(大正7)年に創業、爾来急速に事業を拡大させた幸之助にとって、国を富ますことはまさに正義であり大義だったでしょう。その使命感がやがて経営理念(綱領・信条)に反映され、さらに世にいう「水道哲学」(以下に一部抜粋)に凝結され、のちの経営の理念的支柱になります。

 「生産者の使命は貴重なる生活物資を、水道の水のごとく無尽蔵たらしめることである。いかに貴重なるものでも量を多くして、無代に等しい価格をもって提供することにある。かくしてこそ、貧は除かれていく。貧より生ずるあらゆる悩みは除かれていく。生活の煩悶も極度に縮小されていく。物資を中心として楽園に、宗教の力による精神的安心が加わって人生は完成する。ここだ、われわれの真の経営は」

 しかしそれから日本は戦争に突入、そして終戦。国民全体が「貧困」にあえぎ、これに負けて多くの人々が人間としての誇りを失い、道を過つ姿を目の当たりにした幸之助は、1948(昭和23)年9月に発表した「PHPのことば その9 経済の目的」で、「貧困は罪悪である」と世に問うたのです。その言葉には「衣食足らざれば礼節を知らず」が人間の本性であり、だからこそ貧困を除去し、社会を繁栄させていかねばならないという切なる願いがこめられています。