『松下幸之助発言集』 全45巻から厳選された普及版(全10巻)。 第1巻では、経営者を対象とした外部での講演のうち、昭和35年から38年にかけての、「商売は"私"のものではない」ほか6編を収録。
まえがき
発刊のことば
弊社では、平成三年四月より二年の歳月をかけて、『松下幸之助発言集』(全四十五巻)を発刊いたしました。これは、松下幸之助が生前行なった講演、講話、対談、インタビューなど、さまざまな発言を文字に再現したものですが、その中には、経営観はもとより、人間観、社会観、宇宙観など、松下幸之助のものの見方・考え方の全貌がほぼ網羅されております。発刊以来、多くの方々から、文庫版にしてさらに広範囲の人々に読んでいただくようにしては、というおすすめをいただいておりましたが、本文庫シリーズは、そのご要望にお応えして、四十五巻の中より「経営と人生」に焦点をあて、十巻に再編集したものです。
本年は、松下幸之助が昭和二十一年にPHP研究所を創設いたしましてから、ちょうど五十年目の年に当たります。日本は、当時の悲惨な状況からめざましい経済発展を遂げてまいりましたが、今また新たに、難しい幾多の問題を抱えています。体験と思索のなかから生まれた知恵が、この激動する時代を二十一世紀に向けて生きる皆様方に、何らかの参考になれば幸いです。
平成八年三月
目次
商売は"私"のものではない | 9 |
"天地自然の法"にかなった経営 | |
利益を確保する強い信念 | |
商売は"私"のものではない | |
経営は公人としての見方で | |
資本が権力化していく | |
大メーカーが新分野に進出するとき | |
業界の慣行をよく研究して | |
薄利多売に断固反対する | |
よく売る小売屋は利潤が高い | |
犠牲的な販売は罪悪である | |
道路のまん中にある郵便局 | |
ドイツ軍に対するオランダ人の判断 | |
今後の繁栄に大きな関係がある政治 | |
土を輸入して道路をつくる | |
欧州経済共同体による繁栄 | |
経済人の努力だけでは限界がある | |
議員の数は少ないほうが効率的 | |
立ちのきは名誉の犠牲 | |
一軒の反対で工事が中断 | |
恵んでもらっていた給食の小麦粉 | |
天下の金、天下の人を擁して...... | |
日本とアメリカの労働争議の違い | |
越えてはならない一線 | |
何が正しいかということに殉ずる精神 | |
オランダには十の大学しかない | |
それでもオランダはすぐれている | |
経営者に課せられた問題は多い | |
中小企業と人材確保 | 71 |
人が足りない | |
"中小企業は賃金が安い"か | |
人を生かせる中小企業 | |
思い切った発想の転換が必要 | |
人手不足で初めて目覚める | |
高い給料を出しても経営はできる | |
アメリカの高賃金 | |
待遇をよくして人を求める | |
経済性と合理性 | |
画期的な中小企業の発展のために | |
困難に直面して発展する | |
こちらの意気ごみを見せる | |
社長の給料は心配料 | |
長たる責任 | |
私の経営観、販売観 | 101 |
久保田さんはお師匠さん | |
無条件で任せる | |
ものを生み出す考え方 | |
成功への道は一つ | |
製造と販売は二本の柱 | |
販売部門に傑出した担当者がいれば | |
経営者の責任 | |
お得意先にも訴える | |
感心したアメリカの企業PR映画 | |
『タイム』のカバーの価値は百万ドル | |
企業広告の大きな効果 | |
強い信念が事を可能にする | |
不景気には商売を休む心持ちで | |
負けるときは首のないとき | |
商売の原則は変わらない | |
<質疑応答> | |
『タイム』との縁 | |
系列販売について | |
同業者間協調の秘訣は | |
正しいことは認めてくれる | |
経営力を高める | 151 |
あこがれていた安田善次郎さん | |
努力し競うところに感じる生きがい | |
裏目に出ている設備の増強 | |
今銀行に金がない | |
こと志に反する実例 | |
見方に甘さがないか | |
欠かせない自己認識と自己反省 | |
外国の援助による繁栄 | |
アメリカの合理主義 | |
経営力を高めるのが先決 | |
アメリカは事業がしやすい | |
日本はアメリカの下請け工場 | |
山にぶつかるのは社長の責任 | |
盛衰のカギを持つ最高責任者 | |
無理をしない経営 | 187 |
人生の一つの味わい | |
金解禁が不況を招く | |
生産を半減しても無解雇で | |
不況を転機に生まれた信念 | |
お得意先は生きた教訓 | |
企業の社会性を認識した経営を | |
安易な日本の多角経営 | |
余剰人員をかかえる企業体 | |
減税で赤字を克服するアメリカ | |
剰員のない経営体質への取り組み | |
税金多くしてなすこと少なし | |
貿易自由化への心がまえ | |
民主主義の特色は経済性 | |
<質疑応答> | |
事業信念の伝え方 | |
為替自由化は日本にプラス | |
真の民主主義の実現をめざして | |
労働組合のあり方 | |
長野県への好印象 | |
私の経営哲学 | 229 |
科学の発展と経営のあり方 | |
国の経営・ドラッグストアの経営 | |
ヒットラーはなぜ失敗したか | |
経営理念の出発点 | |
国と国の過当競争から戦争が起こる | |
お互いの良識をもって除去する | |
今日の経営者の覚悟 | |
<質疑応答> | |
過当競争をなくすためには | |
国際取引は平等に | |
過当競争の限界は? | |
海外進出について | 247 |
海外進出は日本の最重要問題 | |
銭屋五兵衛の開拓精神を | |
人の養成が頭痛の種 | |
相手国に適した製品と販売方法で | |
どこにもない商品をつくる | |
三つのポイントをどう解決するか | |
援助主体で利益を求めず | |
慎重に調査する外国企業 | |
慎重にしたい発展途上国への進出 | |
造船の生産額は世界一 | |
人が足りなくなってきた | |
アメリカの三割減税の背景 | |
人の問題を真剣に考えよう | |
<質疑応答> | |
発展途上国への資本・技術輸出 | |
人手不足の解決に力を入れる | |
人口問題と経済発展 | |
自然の摂理にもとづく経営理念を | |
週休二日制の真意 | |
経営者としての責任 | |
索 引 | 299 |