政治

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政治の要諦

すべての人がいきいきと仕事に励み、生活を楽しむようにするのが、政治の目的であります。

単に学問や才能だけに頼っていては、よい政治はできません。為政者も民衆も素直な心で天地自然の理を仰ぎ、これに従って人々の幸福を図っていくところに政治の要諦〈ようてい〉があります。

人間性を重んずることによって無理のない政治が行われ、人間性を高めることによって、よき民主政治が生まれてまいります。

民主主義の本質

民主主義の本質は、人間本然の姿が、そのまま素直に生かされていくところにあります。これは真の意味の人間主義であります。

人間の本質を素直に生かすとき、限りない繁栄、平和、幸福が生まれます。民主主義はこの人間の本質を生かし、繁栄を生む主義であります。

民主主義は、国によりその現われ方を異にいたします。お互いに歴史と伝統にもとづいて、その国に最もふさわしい民主国家を打ち立てなければなりません。

政治の責任

民主主義の国家を運営する基本的な責任は、国民の一人一人にあります。したがって、われわれは常に政治の上に、強い責任と要望とをもたなければなりません。

政治の運営にあたる代議士の選出は、国民の最も重要な仕事の一つでありますから、われわれは常にこれに強い関心をもち、その責任を果たさなければなりません。

お互いに自己の立場にとらわれることなく、素直な心で広く全体を見極め、よき代議士を選んで、繁栄の社会を築くために努力しなければなりません。

政治家の職責

社会の繁栄に役立つかぎり、職業は本来平等であります。自然から託されている尊い人間の務めでありますから、そこに尊卑の別はありません。

政治家は、国民の働きを生かすか生かさないかの重大な職責を担っています。そこに政治家の面目とその職業が特に尊重されるゆえんがあります。

国民はこの政治家の職責をよく了解して、主権在民の本意にもとづき、これに力強い要望を提案しなければなりません。そこから、よき政治と繁栄の社会が生まれてまいります。

憲法の淵源

憲法は国家の基本法として、あらゆる法の根幹となり、また国民生活の秩序を支えるものであります。

憲法の根本精神は人類共通のものであり、永遠不変のものであります。したがってその淵源〈えんげん〉は自然の秩序に求めなければなりません。

憲法は、この根本精神を逸脱しないかぎり、その国の伝統と時勢の変遷に伴い、これを改正することができます。お互いに万古不易の精神の上に変動する時代精神を参酌して、国民生活に適切な憲法を確立しなければなりません。

租税の適正

租税は国家運営の財政的基礎をなすものであります。したがって国民は納税の義務を完全に果たさなければなりません。

国事多端のときでも、国民の心情を無視した重税は、国家社会に対する義務観念を弱め、ひいては一般の道義も衰えさせる結果となります。

為政者は国費の合理化に意を用い、低率の税金でも国庫の収入が増大する道を工夫しなければなりません。そこに国家繁栄の基〈もとい〉があります。

官吏の優遇

国民は、国民の公僕として政治に携わる官吏の待遇をよくするように心がけねばなりません。

官吏は国民の生活を左右するほどの大きな任務をもっています。したがって待遇を過てばその使命を果たすことができず、ひいては国民全体に不幸をもたらす結果ともなります。

待遇をよくするには、政治のムダを省かねばなりません。人と仕事と機構とのムダを究め、国家の負担を軽減することによって、よき待遇を与えることができます。

松下幸之助一日一話

11月21日 心をときはなつ

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