後に「PHPシンポジウム」と改称される、「第1回PHP京都会議」は、昭和57(1982)年11月26~27日、京都グランドホテル(現リーガロイヤルホテル京都)で開催されました。フロア席には財界人を中心に約40名が参集しており、スケジュールは表の通りです。
開催に当たって松下幸之助は最初のあいさつをし、「アメリカが悪い、欧州が悪い、中東方面も悪い、いいところが一つもない。いいところは日本であると。その日本がもう経済破綻寸前にあります」と述べています。前日に大阪の料亭「大和屋」で住友化学工業の土井正治氏ら友人4人と宴会をした際も、「なんとなしに一抹の寂しさが出てくる。その一抹の寂しさは何かと申しますと、このままでいいのか、日本はこのままでいいのかということです」(速記録№1966)と言いました。
記念講演として、山本七平氏が「なぜ、日本のグランドデザインが必要なのか」と題して約1時間に渡って話をしました。続いて第1セッションとしてウシオ電機会長・牛尾治朗氏の司会によるパネルディスカッション「国際経済秩序と日本の役割」が催され、休憩の後、フロア参加者と全体討議が行われました。翌日は第2セッションとして唐津一・松下通信工業常務(当時)による司会で「『日本の技術』は世界に何ができるか」と題するパネルが組まれています(写真)。