人間観

PHPの基本理念 人間観

人間の目的

人間の目的は、人間を中心として、生成発展の理法を万物の上に顕現し、もってお互いの繁栄、平和、幸福を図るところにあります。

繁栄、平和、幸福の実現は、人間の主観的な願いでもあり、また真理にもとづく天与の使命でもあります。

お互いに生成発展の理法を自覚し、絶えざる創意と工夫とによって、この目的の達成に努めなければなりません。そこから豊かな繁栄の社会が生まれてまいります。

人間の天命

人間には、自然の理に従って、万物を支配する天命が与えられています。人知の働きがこの天命を正しく生かしますと、万物は人間の支配に服します。

人知を正しく生かすためには、衆知を集めなければなりません。衆知は、人間社会が到達しうる最高の知恵であり、これにもとづいて定められたことは、その時代における最高のものであります。

お互いに人間の天命を自覚し、衆知を集め、これを高めることに努めなければなりません。高き衆知によって政治、経済が運営されるとき、繁栄の社会が生まれます。

人間性

人間の本質は天与のものであり、永劫〈えいごう〉に変わりありません。われわれは、素直な心でその本質を究めることに努めなければなりません。

人間には、知情意の働きがあります。その調和と育成は、人間性を高めます。お互いに人間の本質に立脚して、人間性の向上に努めなければなりません。

人間性の発露として民族性、国民性があります。これを考慮しない政治、経済、教育は決して人々を幸福にするものではありません。

人権の意義

人はみな本来、人間としての特質を自然から与えられています。その特質は、長い歴史による成長と、多くの人々の相互援助とその恩恵とによって発揮されてくるのであります。ここに人間としての尊さがあり、この尊さから人権が生まれてくるのであります。

人間の尊さを自覚したならば、この尊さを傷つけないようにしなければなりません。これが人間としての権利であり義務であって、人権が尊重される基礎もここにあります。

お互いに人権を尊重しあい、すべての人の存在を意義あらしめるよう協力しあわなければなりません。ここに民主主義の基〈もとい〉があります。

欲望の善悪

欲望は生命力の現われであります。それ自体は善でも悪でもありません。欲望が強いことは、生命力の強いことを表わすのであります。

欲望の善悪は、それを満たそうとする行いが、お互いの繁栄、平和、幸福を進めるか損なうかによって決まります。

学問も教育も宗教も、この欲望の発露を適正に導くところにその意義があります。それによって生命力が躍動し、いきいきとした生活が営まれねばなりません。

理性と本能

人間の本能は自然に備わっているもので、これをなくすることは絶対にできません。これを無視した政治、経済、宗教は、ムダであるばかりでなく、かえって人間を苦しめることになります。

本能には正常本能と異常本能との二つがあります。正常本能は理性によってこれを伸ばし、異常本能は理性によってこれを矯正することに努めなければなりません。

理性を磨いて、教養を深めていくとき、本能は人間の文化生活を進める力となります。これを生かすことによって、繁栄の生活が生まれてまいります。

善と悪

一つの主義や立場にかたよって善悪を定めると、人間にムダな努力をさせるばかりでなく、かえって苦しめることになります。

善悪の判断は広い視野に立って行わなければなりません。総合的に判断して、繁栄、平和、幸福を進めるものが善であり、これを妨げるものが悪であります。

善悪の本質を究め、これに適応した生活態度を打ち立てていくところに、繁栄、平和、幸福が生まれてまいります。

信と解

平和にして幸福な繁栄の社会を実現するためには、お互いに信と解とを二つながら高めていくことを心がけねばなりません。

信があっても理解が伴わなければ判断の正しさを欠き、迷いに陥ります。理解があっても信が伴わなければ、信念に弱さを生じて、物事は渋滞します。

お互いにこの理をわきまえ、素直な心で信と解とを兼ね備えることに努めていけば、何ごとも迅速かつ円滑に運び、しだいに繁栄の基〈もとい〉が築かれてまいります。

殺生の意義

すべてのものは、人間の繁栄、平和、幸福に役立つところに、その使命があります。この使命にそむく殺し方や、無意味な生かし方をすることが殺生であります。

殺される生物に哀れみの心をもつことは、美しい人情でありますが、これにほだされて殺生の本義を忘れると、かえって殺生を犯すこととなります。

人間の自由を奪い、その活動を妨げるいっさいの施策は、最も大きな殺生であります。お互いに人間性を究め、自然の理に従って、殺生のない繁栄の社会をつくりあげねばなりません。

松下幸之助一日一話

11月22日 弁解より反省

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