志を立てるのに、老いも若きもない。そして志あるところ、老いも若きも道は必ずひらけるのである。
『道をひらく』(1968)
解説
累計480万部を超え(2012年4月時点)、いまも多くの方々に愛読されている、幸之助著作最大のベストセラーからの言葉です。本書が発刊されたのは昭和43年、すでに40年以上前になりますが、翻って現在の日本社会をみると、2012年の成人の日には、その人数の減少度合が話題になるほど、高齢化が急速に進みつつあります。ゆえにその高齢化を、マイナスととらえずプラスにとらえる発想が、ますます必要とされる時代になってきています。
実際、いま高齢者といわれる65歳以上の方は、一昔前に比べれば見た目も非常に若々しく、「これから」の人生をさらに充実したものにしたいと願っておられる方がたいへん多いようです。そしてそうした高齢者の方々が、日々新しい気持ちで新しい行動に取り組めるよう、新しい社会のしくみをつくりあげていくことが、いまの日本に求められているといえるでしょう。
であるならば、そうした新しい社会をつくりあげていくうえで、これからなにが必要になるのか。政治がもっと変わらなければいけない、企業が変わらなければいけない、各人の意識が変わらなければならない……、やるべきことは多々あるはずです。しかしそうしたことよりも、まずは高齢者の方々が、それぞれの状況に応じた「志」を立てて、心の若さを維持しつつも豊富な経験を活かして行動していく、いわば「自助」の努力が必要不可欠といえるのではないでしょうか。
幸之助は、老いてもなお志を持ち続け、その清々しい姿を保ち続ける生き方を、終生、貫きました。
学び
自分より年配の方に負けないだけの、若々しい行動をとれているだろうか。
自分より若い人たちに劣らない、溌剌とした行動をとれているだろうか。