昭和44（1969）年7月20日、アメリカのアポロ11号が月面着陸に成功しました。これを受けて、松下幸之助は「ＰＨＰ研究所創設者（Founder of PHP Institute）と松下電器会長（Chairman）」の肩書を併記して『Life』誌に意見広告を掲載しています（写真）。ＰＨＰ研究所の会社名を明記した初めての英文広告であり、幸之助が「ＰＨＰ研究所創設者」という肩書を明記したのも内外で初めてでした。
掲載は『Life』のアメリカ版、同年8月8日号であり、当時使われた和訳の控えも資料として現存しています。広告文は「月面着陸飛行にたゞたゞ感激しております」とし、「この歴史的な月飛行で得られた知識が、すべての人々の平和と幸福と繁栄に大きく貢献することを信じて止みません。同じ理念を経営方針とするわが社からも、このアポロ11号を成功させるのにご努力されたすべての方々にお祝を申しあげ（ます）」と述べていました。
ＰＨＰ研究所の記録は、この広告について「ＰＨＰ創設者という肩書もはいり、内外にかなりの反響を呼んでいる」としています（ＰＨＰ研究所所誌）。
幸之助は、アポロ11号の成功に非常に感銘を受け、別なところでは「人間というものは偉いもんだなァ、という感じを持ったんですよ。そういうようなところからね、人間というか人心にアポロを打ち上げなきゃいかんと思うんですな」（※１）と述べました。
１）松下幸之助・藤島泰輔『日々を新たに』（文藝春秋、1970年）40頁。
