昭和46(1971)年から、PHP研究所は一般書籍の発刊を開始しました。吉岡たすく著『小さいサムライたち』(写真)について、発刊以前の記録が残っています。

 まず昭和41(1966)年8月1日発行の『PHP』第219号76頁から「小さいサムライたち」の連載が開始されました(写真)。昭和44(1969)年4月5日に吉岡氏がPHP研究所に来所して、「吉岡たすく先生講演会」が開かれています。午後2時から1時間の講演であり、「殆どの所員が参加、ユーモアの中に子供との心の触れあいを強調される」と記録されています。同年9月13日には、PHP研究所のあっせんで、松下電器洗濯機事業部において松下電器主催の「心のひろば」と題する講演会が開かれ、吉岡氏が「心をかよわす」という題で講演しました。

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連載企画「小さいサムライたち①」


 昭和45(1970)年9月11日には「御井(敬三)先生を囲んでの編集会議」が開かれ、同月17日には松下幸之助を交えた編集会議が開かれました。これらの会議以降に『小さいサムライたち』の発刊に向けた作業が始まっており、一般書籍を制作し始めたのは、御井氏の助言が発端です(※1)。


 翌昭和46(1971)2月25日には見本が搬入されました。3月25日に発刊、初版5万部。以後、平成11(1999)年5月1日発行の第612号まで、『PHP』誌上で「小さいサムライたち」の連載は続くことになります(※2)。


 昭和46(1971)年10月2日に行われた運営方針発表会(録音№P-11)は、松下電器から独立して初の本格的な運営方針発表会です。さらに出版活動を進めるべく、「出版報国」が昭和47(1972)年度のスローガンとして提示されました。



1)御井敬三氏は昭和43(1968)年7月15日から昭和46(1971)年8月23日に逝去するまで、PHP研究所参与を務めた視覚障がい者の鍼灸師です。

2)『PHP』第612号78頁に、「三十年以上にわたって、連載をいただきました『小さいサムライたち』ですが、吉岡先生のご体調の都合で、残念ながら今月で終了することになりました」とあります。