月刊誌『PHP』は昭和48(1973)年5月号で通巻300号を迎えました。これは「300号記念特大号」とされ、内容、形式共に特別の仕様となっています。
松下幸之助の特別インタビュー「新しい人間観に目ざめるとき」(p17~26)が掲載され、「新しい人間観の提唱」も改めて紹介されています(p25)。最初期のPHP活動で作成された「研究十目標」(p18~21)も再録されており、オイルショックとそれに伴って発生した当時のインフレ(※1)を踏まえつつ、「『研究十目標』の内容は、ほとんどそのまま今日の政治、今日の社会にあてはまる」と主張しました。
幸之助と交流のあった薬師寺管長の高田好胤氏(p27~31)、女優の宮城まり子氏(p35~37)が寄稿したほか、京都大学教授(西洋史)の会田雄次氏(p50~57)も「三〇〇号記念特別寄稿」として執筆しています。若い読者を意識した誌面づくりで、「現代若者考」という特集が設けられ、当時の若者の代表としてプロテニス選手の沢松和子(p121)、プロゴルファーの尾崎将司(p122)両氏の記事も掲載されました。
通常は全124頁のところを全160頁の特別仕様にしており、価格も1冊70円が、この特別号だけ120円でした。また、300号を記念して創刊号の縮小版が付録についています。縮小版には広告も創刊当時のまま記載されていて、各執筆者には再掲載の許諾を取っており、この付録のみの販売はしない旨が表Ⅲに記載されました。
1)オイルショックにより、物価が年間23%上昇しており、月刊誌『PHP』の価格は6月号(301号)で70円に戻された後、インフレを考慮して翌昭和49(1974)年1月号から100円になっています。