昭和50(1975)年7月31日、東京のホテルオークラにおいて、ソニー会長の盛田昭夫氏(当時)と松下幸之助の対談が行なわれました(写真)。
対談は2回の休憩をはさんで行なわれ、合計約317分の音源が残っています(速記録№1459)。政治や経済、教育など、話題は多岐にわたり、オイルショックからまだ十分に立ち直っていない日本の先行きを共に憂える展開になりました。幸之助は「われわれはここで二人ね、ずうっと話をするということはね、歴史に残りますよ」とか、「これはいい名文にしてね、図書館に置いときましょう」と言っています。編集や出版について、盛田氏が「またその事務所でもつくると、すぐマスコミがこりゃ何じゃと(嗅ぎつけてくる)」と考えていたので、PHP研究所が担当することになりました。幸之助は対談の最後に「夜中までやってもと思うとったけど、少し疲れましたな」と述べています。
書籍は『憂論』の題で、当初の予定通り9月末(奥付では10月1日)に出版されました。初版7万部で、すぐに増刷がかかり、翌月には累計20万部が出荷されています。