人間観

欠点も長所も――人間とはなにか〈10〉

 千人が千人、万人が万人とも、欠点も長所もある。その欠点も長所もみとめて生かすというところに自由主義があると思います。それを消してしまって一つの型にはめてしまう、ということはも

人間観

人間道とは――人間とはなにか〈9〉

 人間には、万物の王者としての偉大な天命がある。かかる天命の自覚に立っていっさいのものを支配活用しつつ、よりよき共同生活を生み出す道が、すなわち人間道である。人間道は、人間をし

人間観

鉄のかたまりは1つになるが......――人間とはなにか〈8〉

 みんなが一つのものであれば、一つになってしまいます。三つの鉄のかたまりを溶解してやれば一つの鉄のかたまりになってしまいます。それは同じものだからそうなるのです。けれども、人間

人間観

母の愛――人間とはなにか〈7〉

 たとえば母親は慈愛の心をもっておりますが、場合によっては子を叩きます。叩くということは慈愛の心に反する。母にその心がないかといえば、決してそうではなく、母の愛はやはり一貫した

人間観

美の反面には醜がある――人間とはなにか〈6〉

 池の底というものは、やっぱり汚いものである。水がたたえられてこそ、樹々も映し月も映えるのだが、その肝心の水がなくなってしまったら、映すべき何物もなくて徒(いたずら)に醜い底を

人間観

自ら神を創造し、知恵を授かる――人間とはなにか〈5〉

 私は、人間というものがえらいものやと思うのは、自分の発想で神様というものを創造するわけですな。その創造した神さんに手を合わして拝んでいる。それで知恵を授かる。知恵を授かって自

人間観

お互いに飼い合う社会――人間とはなにか〈4〉

 われわれの社会というものは、人間お互いが飼い合いしていると言ってもいい。人間がみな集まって、お互いに飼い合いしている。私はみなさんに飼われている。みなさんは私に飼われている。

人間観

心とともに物の豊かさを――人間とはなにか〈3〉

 人間のもつ物質的な欲望を一切たちきって、ひたすら心の豊かさのみを求めて清貧に甘んずることは、一応善だと思われますが、しかしそれはあまりにも一方に偏していて本能と調和している姿

人間観

自然知にしたがって自然を動かす――人間とはなにか〈2〉

 もともと、人間は自然の一部である。人間を含めて万物いっさいは、自然の理法といったものによってつくられたといえよう。そしてまた、その自然の理法によって、人間も万物もたえざる生成

人間観

人間の使命とは――人間とはなにか〈1〉

 人間の使命とは、考え方はいろいろあるが、端的にいえば、人間が主人公になることである。万物いっさいの主人公であるということを自覚することである。その自覚をしないところから、いろ