私ども子どもの時分によく親方から教えられたのは、商売人というものは、“損して得取れ”ということです。これは少し旧式な話でありますけれども、損して得取れ、損を惜しんでは商売人として成功しないということを言われたのであります。これは商売だけではなくて、人間全般に通ずると思うのです。個人、人間の社会生活に通ずることだと思います。今日の言葉でいうならば、まずサービスからかかれ、サービスをして初めて成果が認められるんだということと同じことだと思います。

『松下幸之助発言集30』(1965)