本コラムでは、松下幸之助をはじめとする日本の名経営者・実業家の考え方やことばを紹介しながら、リーダーとして心得ておきたい経営の知恵を解説してきました。今回、ついに最終回です。

<ゆとりと活力を生む経営>続けずして成功なし

石橋正二郎に学ぶ成功の鉄則

 石橋正二郎氏は、昭和六年にブリッヂストンタイヤ(現ブリヂストン)を設立し、自動車タイヤの生産を始めた。
 しかし、技術的に未熟な点があったうえ、不良品を無料で取り替える保証制をとったため、返品の山となり、「石橋もこれで終わりだ」といわれるほどの危機に直面した。だが、石橋氏はこれに屈せず、技術の改良に努めるなど努力を重ねて製造を続け、昭和三十八年には、ついに日本のタイヤ総生産量の五〇パーセントを占めるまでに成長した。

 この石橋氏をはじめ、成功を収めた経営者は、ほとんど例外なく、あきらめず根気よく続けたことで、所期の目的を達成した経験をもっている。そして異口同音に、あきらめることなく根気よく続けることの大切さを説いている。これはまさに成功の鉄則といえよう。

成功とは、成功するまで根気よく続けること

 一般に、努力をすればそれだけ成果があがるというのが普通の姿である。しかし、努めても努めてもうまくいかない、いっこうに努力が実らないこともある。そんなときは、つい投げ出してしまいたくなる。
 だが、"ぜひこれを成し遂げてやろう"と、事を始めた以上、少々うまくいかないからといって簡単にあきらめてしまってはいけない。一度や二度の失敗でくじけ、投げ出してしまう心弱い姿では、物事を成し遂げていくことは到底できないであろう。

 むしろそういうときこそ、心を乱さず、辛抱強くなすべき努力を重ねていく。そうすれば、そこから思わぬ知恵が生まれたり、周囲の情勢が変わって有利な状況が生じ、新しい道がひらけてきたりするものである。

 もちろんこの世の中には、どんなに努力しても成らないことがある。だから、成るものか成らないものかを冷静に見きわめ、もし成功の見込みがないと判断したら、体裁や損失にこだわらず、潔く打ち切る、さっと手を引くことも一方で大切である。

 しかし、失敗のなかには、成るものを途中で投げ出してしまったところに原因がある場合がきわめて多いのではないか。せっかく苦労してもうひと息というところまできているのに、途中でやめてしまったために、結局ものにならなかったということが少なくない。

 きょうあきらめてしまえば、あすの成功は決してありえないのである。成功とは、成功するまで根気よく続けることだともいえよう。
"続けずして成功なし"、つねに心に留めておきたい言葉である。

◆『部下のやる気に火をつける! リーダーの心得ハンドブック』から一部抜粋、編集

筆者

佐藤悌二郎(PHP研究所客員)

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