「松下幸之助経営塾」は、経営者を対象にした松下幸之助の経営哲学を学ぶための公開セミナーです。2021年3月に開催された同塾の研修風景の一端をご紹介します。
【塾生通信 日に新た】松下幸之助経営塾 第21期 第4回
人を育てるには
三月十二日、十三日、第二十一期の第四回が、「人を育てる~事業は人なり~」というテーマで開かれました。
一日目はまず、塾生の課題発表「わが社の課題~五年先から今をみる~」。パナソニック客員で当塾アドバイザーの塩川順久氏から、塾生一人ひとりに対して、実践的で丁寧なコメントがありました。
次いで、弊社PHP理念経営研究センター首席研究員で当塾講師の川上恒雄による講義「人の育て方・活かし方」。松下幸之助が重んじた人材育成に関する基本的な考え方を学びました。その中で、松下が部下の提案や意見をすぐに否定せず、肯定的に聞く経営者であったというエピソードが紹介された後、弊社・人材開発企画部長で当塾ファシリテーターの的場正晃が「やる気と主体性を引き出す『傾聴』」というテーマで、コーチングの基本を実践指導。演習を通して、ふだん部下の話に耳を傾けていないことに気づき、反省する塾生もいました。
二日目の午前は、同研究センター代表で当塾主幹講師の渡邊祐介による講義「人財育成の現場を考える」。松下のように人を大切にする現代企業の事例を通して、塾生とともに育成のあり方を考えました。
午後は、松下電器産業元副社長で、パナソニック終身客員の戸田一雄氏による特別講話「二つの経営責任を果たす」。ここでいう「二つ」とは、事業計画の達成と、事業を通した社会貢献・顧客満足の実現です。経営者はこの両者を同時に達成・実現しなければならないと、戸田氏は強調。そのためには、松下の教えた「全員経営」の実践による新市場の開拓の努力が必須であることを訴えました。
また戸田氏は、独自に作成した豊富な資料を用いながら、コロナ禍のような有事の時にはリーダーの人間性が問われるとし、なかでも先見性、実行力、決断力の三つの資質を備えることが重要であることを指摘しました。
最後に、国際経験の豊かな塩川アドバイザーから、海外でも部下の話をよく聞くことが信頼関係の構築につながったという経験談が披露され、塾生も「傾聴」の重要性を改めて認識。充実した二日間となりました。