PHP研究所は、京都駅八条口に社屋を建設すべく、昭和42(1967)年3月9日、北ノ内町で「土地に対する礼」を行いました。一般でいう地鎮祭であり、PHP研究所では、独自の様式でこの「礼」を行っています。午前10時30分から約30分間にわたって、建設予定地に設けられたテントの中で催されており、式次第は以下のとおりです。

 

「土地に対する礼」の式次第

土地に対する礼 式次第

(アルバム『PHP研究所建設「土地に対する礼」の式』より作成)

 

 来賓は、松下電産本社、松下電子工業から招かれ、松下不動産や工事担当の竹中工務店、丸富工務店、川崎造園からも列席がありました。
 所員が建設委員長を務め、松下幸之助は体調不良のため欠席しています。男性所員7名が「建設委員」、女性所員4名が「補助者」として出席しており、神主などの宗教者は出席していません。

 

 アルバム『PHP研究所建設「土地に対する礼」の式』によれば、所員が朗読した「PHP研究所建設の意義と土地に対する礼」は、「私どもはいま、長き歴史伝統をほこる京都の、しかももっとも近代的な新幹線の駅前であるこの一画に、あたらしく研究所をつくらせていただきたく、ここに相つどいました」という言葉で始まっています。「そもそも宇宙に存する一切のものは、宇宙の根源からそれぞれにその使命が与えられ、人間の繁栄、平和、幸福に役立つべく待機しております。土地もまた然りであります」と説きました。「私どもは、このたびこの土地にPHP研究所建設用地としての尊い使命を見出し、これを有意義に使わせていただきたい」と、この土地の使命を強調しています。

PHP社屋建設予定地

建設予定地に設置されたテント(奥は新幹線の高架)

 

 所員が読み上げた「土地に対するねがいのことば」は、「お互い人間の限りない繁栄・平和・幸福の実現をのぞみ、その研究ならびに普及活動を力強く展開してゆくために、この土地を選ばせて」いただいたと説いています。文章は短く、「事なく工事が進みますよう」祈念するものでした。

 

 記念撮影の後、引き出物として、参列者全員に素焼の陶器が贈られました。