Q25:幸之助による松下政経塾生への最初の3つの要望。その3つ目の○○に当てはまるのは?
「物事を単に知識として覚えるのでなく、○○こと」
(1)悟る
(2)噛む
(3)観る
解答&解説コラム
(1)の「悟る」が正解です。幸之助は塾生にこう語っています。「一種の悟りの境地を持たなくてはいかん。知識は教えて教えられるし、習うこともできる。けれども、悟りということは、話を聞いても悟れない。なにかフッとした拍子に、自分がインスピレーションを感じて、それで無言のうちに悟るものである。だから、みなさんが持っている知識も大事だけれども、持っている知識以上のものをつかまなくてはいかん。(中略)みなさんが、いままで習った知識は決してこれを無にしてはいかん。これからの社会において、知識は大いに必要だから、それは持っていないといけない。けれども、その知識を完全に使いこなす、知識を生かしていく知恵といいますか、その根源となるものがないといけないわけです。それをここでつかんでもらいたい。こういうことです」。
悟りの境地などと聞くと、難行苦行を積んだお釈迦様や名だたる高僧しか到達しえないように感じられるかもしれません。しかし幸之助は、別の機会では「お釈迦様のような偉大な悟りは得られなくても、その立場立場に応じたものを求めていけばいいと思います。そしてそのためには、物事を成し遂げていこうという強い熱意と、日々体験を積み重ね、その中から何かをつかんでいこうという心がまえを持ち続けることが大切でしょう。そういうところから、何かの機会に“自分なりの悟り”が得られてくるわけで、それが得られると、それまでかすんでいたものがはっきり見えてきます。いわば世の中がありのままに見えてきて、何か物事をやるにしてもそう大きな誤りはなくなります。ある程度適切なやり方、考え方がとれるようになると思うのです」とも述べています。
お釈迦様にはお釈迦様の悟り、自分には自分、あなたにはあなたの悟りがある。そしてその“自分なりの悟り”を、日々の体験と努力によってつかんでほしい――。一朝一夕にはできないだろうとしながらも、次代を担う若い人々が自らを磨き、大きく成長していく上できわめて大切な行き方として、幸之助はこのことを強く求めたのです。