Q28:幸之助は「文化国家」の条件として3つを挙げました。その3番目、○○に当てはまるのは?

「社会が○○○○していること」

 (1)自他共栄

 (2)生成発展

 (3)栄枯盛衰

矢印(下).png

解答&解説コラム

 (2)の「生成発展」が正解です。「広い自由と高い秩序とがあれば、おのずとその国は生成発展していく」はずである。あわせて、生成発展しているかどうかを基準に「自由や秩序のあり方を考え、いっさいの人間活動、社会活動のあるべき姿を求めていく」ことが必要であるとして、自由・秩序・生成発展が相まって高められていくところに、真の文化国家が建設されると幸之助は説きました。


 ではなぜ、生成発展なのでしょうか――。1946年、戦後の混乱期にPHP研究をはじめ、世の人々に繁栄、平和、幸福の実現を強く訴えかけた幸之助は、PHP研究を通じ、「人間とは」「人間がなすべきこととは」といった本質的な問題について考えをめぐらします。そうして、人間を包みこむ大自然、宇宙にも視野を拡げるうちに、生成発展が宇宙の摂理、自然の理法であり、人間もこの理法に従って日に新たなる生活を営んでいくところに、限りない繁栄、平和、幸福が生みだされると説くようになったのです。


 1965年に発表した「私案・日本国憲法前文」では「日本国民は、過去の歴史におけるすべての人類と等しく、平和を愛好し、物心ともに豊かで幸せな生活を望み、広い自由と高い秩序のもとに限りなく生成発展していくことを念願する」と明記。また72年、長年の研究成果をもとに発表した「新しい人間観の提唱文」の冒頭でも「宇宙に存在するすべてのものは、つねに生成し、たえず発展する。万物は日に新たであり、生成発展は自然の理法である。人間には、この宇宙の動きに順応しつつ万物を支配する力が、その本性として与えられている」と述べています。


 ちなみに3つの条件を尺度に、自国が文化国家としての一等国か二等国か、はたまた三等国かを判定できると幸之助は述べましたが、翻って現在の日本はどうでしょうか――。お互い国家社会の一員として現状を正しく見すえ、そのうえで自分に何ができるのかをしっかりと考えてみたいものです。