Q59:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?
昭和39(1964)年の秋、幸之助のもとに北海道のあるメガネ店の店主から一通の手紙が届きました。幸之助は、後に店主を称賛していますが、そのきっかけとなった手紙には、どのようなことが書いてあったのでしょうか?
(1)松下電器製品に対する苦情
(2)幸之助がかけているメガネについての忠告
(3)一緒に事業をしたいという誘い
解答&解説コラム
(2)が正解です。手紙には丁寧な文章で次のように書かれていました。
「先日、テレビであなたの姿を拝見したのですが、あなたのメガネはお顔に合っていないように思います。もっと良いものに取り替えたほうがいいでしょう」
幸之助はすぐに礼状を出したものの、その後は忙しさに取り紛れ、手紙のことはすっかり忘れていました。
ところが翌年の春、講演のため北海道を訪れた幸之助に、その店主が面会を求めてきて、「あなたのメガネはあの時と変わっていないようだから、ぜひ直させてください」と言うのです。幸之助は熱心さに打たれてその申し出を受け、なぜわざわざ手紙をくれたのか尋ねました。すると店主は、「メガネは人相を変えるので、顔にはえるメガネをかける必要があります。もしこのメガネをかけて外国へ行かれたら、外国の人に日本にはメガネ屋がないのかと思われかねません。ですから失礼を顧みず、手紙を差し上げたのです」と答えました。
幸之助はその熱意と、単なる損得を超えた大きな考え方に感銘し、大阪に帰るや早速社員にこの話を披露して、「お互いにこのメガネ屋さんのような心意気で仕事に取り組みたいものだ」と呼びかけたのです。