Q82:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?

昭和37(1962)年10月に設立された台湾松下電器は、当初、経営が厳しく、大きな赤字が出ていました。その状況について報告を受けた幸之助は、責任者に対し何と言ったでしょうか?

(1)「あまり働かないほうがいい」

(2)「赤字は罪悪だ」

(3)「台湾のことをもっと研究せよ」

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解答&解説コラム

 (1)が正解です。

 昭和37(1962)年10月、松下電器は現地資本と合弁で台湾松下電器を設立します。社員100人あまり、主力製品はラジオとステレオでしたが、経営は非常に厳しく、設立後1年で資本金と同じくらいの赤字が出ていたのです。

 

 状況を報告した責任者に、幸之助は「きみ、あんまり働きなや」と言いました。叱られるものとばかり思っていた責任者は、この言葉に驚きます。幸之助は続けて、こう説きました。「損を重ねているのはまだ工場が十分に稼動しておらず、販売網もできていないことが原因だ。こういうときにあわてて物をつくって不良を出したり、変な売り方をしたりしたらかえって大きな損になる。今はあせったらいかん」

 

 責任者は「私は当時、じっくりとものを考える余裕もなかった。しかしこのとき、素直な心で問題点を正しくとらえ、適切に対処しなければならないことを教えられた」と述懐しています。ほどなくして台湾松下電器の経営は軌道に乗り、当地でも有数の企業へと成長していったのでした。