松下幸之助用語

物をつくるまえに人をつくる

 

用語解説

「松下電器は何をつくるところかと尋ねられたら、松下電器は人をつくるところです。あわせて電気器具もつくっております。こうお答えしなさい」

 まだ創業間もないころから、事あるごとに従業員にこんな訓示を垂れたという。

 

「“事業は人なり”という。人間として成長しない人をもつ事業は成功するものではない。事業にはまず人材の育成が肝要だ」

 松下幸之助は、常々そんなことを考えていた。つまり、資本や技術、設備がいくら充実していても、人材が育っていなければ、事業は成り立つものではないということだ。

 

 しかし、松下幸之助のいう人材の育成とは、たんに技術力のある社員、営業力のある社員を育成すればよいというものではない。自分が携わっている仕事の意義、社会に貢献するという会社の使命をよく自覚し、自主性と責任感旺盛な人材を育成すること、いわば産業人、社会人としての自覚をもった人間を育てることが、松下幸之助が目指した真の意味での人材育成であった。