松下幸之助用語
白紙から考える
用語解説
貿易の自由化を迫られていた昭和三十六年ころ、ある自動車会社から海外との競争があるのでカーラジオを二〇%値下げしてほしいと要求された。不可能とも思える厳しい注文だったが、松下幸之助は、日本の自動車産業が成長していくためにも、これを天の声として聞き、要求に応えなくてはならないと思った。しかし、それまで三%の利益しか上がっていないのに二〇%の値下げをすれば当然赤字になる。そこで、抜本的に設計を見直し、要求に応えられる製品作りを命じた。
数カ月後、要求を満たし、かつ適正な利益も確保できる製品が完成した。これまでの延長線上ではなく、白紙から考えることによって不可能が可能になったのである。