役に立たない人はおらん!――人を見る眼〈1〉
人材育成

役に立たない人はおらん!――人を見る眼〈1〉

 昭和三十年代の前半、あちこちに事業所が増えつつあった松下電器の急成長時代のことである。ある営業所長が、幸之助に、自分のところは新しい職場で、いろいろなところから人をまわしても

このごろ腹減らへんか――情を添える〈1〉
心くばり

このごろ腹減らへんか――情を添える〈1〉

 戦前の話である。入社一年目のある新入社員が、正月に夜遅くまで残業していてお腹が減ってきた。正月なので、もちろん食堂は休みである。ふと、修養室に鏡餅があることを思い出した。

自主責任経営は共存共栄の第一歩――共存共栄への願い〈1〉
共存共栄

自主責任経営は共存共栄の第一歩――共存共栄への願い〈1〉

 過当競争によって業界が大きく混乱していた昭和三十年代の後半のことである。ある地区の販売店の集まりに出席した幸之助に、こんな質問が飛び出した。    「松下電器が

ぼくは婦人を解放した――繁栄への発想〈1〉
発想法

ぼくは婦人を解放した――繁栄への発想〈1〉

 昭和三十六年ごろから、松下電器は海外からの賓客を迎えることが目立って多くなった。ソ連のミコヤン第一副首相もその一人である。  そのとき、幸之助とのあいだでこんなやりとりがあ

経営者の孤独――経営の姿勢〈1〉
経営

経営者の孤独――経営の姿勢〈1〉

 戦後まもなくの話である。松下電器には個性の強い社員が多かったが、そのなかに仕事はできるが、非常に気性が激しく、喧嘩早い者がいた。    ある日、いつもの喧嘩相手

何のための仕事かね――仕事を見る眼〈1〉
仕事

何のための仕事かね――仕事を見る眼〈1〉

 昭和十三年ごろのことである。  毎日のように工場と事務所を巡回していた幸之助が、ある青年社員に声をかけた。    「きみ、その仕事は何をやっているのかね」

紀ノ川駅の別れ――人生断章〈1〉
人生

紀ノ川駅の別れ――人生断章〈1〉

 幸之助が社会に第一歩を踏み出したのは、尋常小学校四年の秋のことである。  生家は村でも上位に入る小地主で、かなりの資産家であったが、幸之助が四歳のとき、父親が米相場で失敗、