われわれ人間にはどのような自衛力が備わっているかというと、他の動物には見られない知恵才覚というものが与えられている。この知恵才覚によって、人は身を守る手段を考え、またよりよい生活のしかたをつくり出していくわけである。

 したがって、この知恵才覚を生かしてみずからを守り、家族を守り、町を守り、国を守り、世界を守って、そこに共同の繁栄を裏づけていくところに、自然の理法にかなった人間としての正しい姿がある、と考えてもよいのではないだろうか。

『松下幸之助発言集39』(1966)