われわれ人間の生産なり消費というものは、単なる生産と消費のくり返しではない。生活の各面において、きのうよりきょう、きょうよりあすへと、絶えずよりよき生産と消費を望み、逐次これを実現していくというところに、人間の人間たるゆえんがあると思うのである。そういう意味から私は、われわれのよき人生とは、よき生産とよき消費の営みであるといってもよいと思っている。
人生とは何かということについては、古来、いろいろの見方、考え方がなされているが、私は人間生活の各面において、絶えずよき生産とよき消費を実現し、そこに自他ともの幸せを生んでいくというところにこそ、人生の意義があるという見方もまたできると思うのである。
『松下幸之助発言集39』(1967)