今日に生きる皆さんは非常に幸せだと思います。自分の好む仕事を求めやすい時代である。そこに生きがいを感じ喜びを感じることが非常にできやすくなったんやないかと思います。こういう時代に生まれた皆さんが、もしも仕事に生きがいを感じないというのであれば、それは原則として許されない、けしからんと、まあ私に言わせるとこういうことになるんです。どうでしょうか、皆さん。そのようにいえないでしょうか。「ぼくはもう困っているんだ。毎日仕事をいやいややっているんだ」そんなことを言う人がいれば「何ということ言うんや」とびんたの一つもくらわしたい。いったい日々の仕事に生きがいを感じないというようなことがありましょうか。あればちょっときいてみたいんですが。どうでしょう、皆さん、私は生きがいがないのだと言う人、いませんか。
『松下幸之助発言集10』(1970)