嫉妬心は宇宙の法則として与えられている限り、これを取り除くことはできません。あたかも、万有引力をなくすることができないのと同じであります。ところがこれが宇宙の法則であることに気づかないと、かえって人間を不幸におとし入れるのであります。しかし、なくすることはできないといって、また濫用すると非常に醜い姿になります。無茶苦茶に嫉妬心をあらわしてしまうと、これは法則を生かさないのと同じであります。そこで、嫉妬心は狐色に程よく妬かなければならないのであります。すなわち、狐色に妬くと、かえって人間の情は高まり、人間生活は非常に和らいでくると思うのであります。
『PHPのことば』(1953)