感謝とこわさを知らぬ者は、人間にあらずして、いわば動物と同じである。個人でも、団体でも、感謝とこわさを知らないと、必ず自己の力を過信し、ついには暴力や権力に頼るようになる。たとえば往年の日本の軍部やヒットラーの政権などは、これを知らなかったゆえにあの悲惨な戦争を引き起こしたともいえよう。われわれは常に感謝とこわさを知り、自己を反省しつつ前進するという謙虚な態度をもちたいものだと思う。

思うまま』(1971)